トキワは2002年の工場移転、15年の工場増設などを経て順調に成長を続けていった。通信販売に加え、全国の生活協同組合や百貨店などへも卸し、外貨を稼ぐ。
現在は大手メーカーが同じジャンルの商品を展開して競争が起きるなど、業界全体の動向を左右する商品となった。それでも、トキワの売上高は20億円に達し、現在も経常利益率は7%程度と高い。
購入者と経営陣だけじゃない
従業員からの満足度も高い理由
地方で堅実な経営を続ける食品メーカーの中には、同じ設備を長く使うことで投資を抑える会社も多い。30年以上使い続けるケースもある。しかし、トキワは生産性向上を主目的に積極的に投資し、時には億単位の投資も実施する。
「べんりで酢」に頼りすぎないよう、商品開発も盛んだ。現在は「べんりで酢」に続く商品として開発した万能たれ「なんでもごたれ」が一定の売り上げを築くなど、「べんりで酢」関連商品の売り上げ構成比は半分強になっている。
14年から社長を務める柴崎明郎氏は従業員への丁寧な情報発信を心掛け、業績や各部署の目標などを積極的に社内で共有する。
また、生産性向上に意識的になってもらおうという理由から、「1人当たり付加価値額」を重視。賞与を営業利益と連動させて意識づけしようとする会社が一般的な中、トキワは売上総利益(粗利益)を重要指標として位置付ける。
その一方で、1カ月当たりの平均残業時間が2時間とほとんどないにもかかわらず、待遇面も充実させている。特に管理職の待遇を顕著に高く設定し、それだけ柴崎社長が自律的に動ける人材を大切にしていると発信している。
このような施策を続けられるのは、強い魅力を持つヒット商品を持って外貨を稼ぎ、それを基盤に先々を見据えた戦略を採れるからにほかならない。
製造経験のない商品で
下請け企業が商機を得た理由
次に紹介するのは、香川県さぬき市でケアシューズの製造販売を手掛ける徳武産業だ。さぬき市の人口は2010年時点で5万3000人。20年に4万7000人となり、50年には2万7000人ほどになると推定されている。







