これらは、単に知識を詰め込むのではなく、子ども自身が学ぶ喜びを感じ、自分らしく考える力を育むことの重要性を国際的に認めたものだといえるでしょう。

 日本でも同様の動きが見られます。新学習指導要領における「育成すべき資質・能力の3つの柱」では、「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「学びに向かう力・人間性」が示されていますが、これは私が考える「意欲×思考力×知識・スキル」の構造と見事に対応しています。

 AIがここまで進化する前から、世界の教育はとうに、新たな方向へ舵を切っていたのです。

AIが急速に進化する時代に
子どもが身につけるべきこととは?

 なぜ、世界のトレンドが変わってきているのでしょうか。

 AIが急速に進化し、質問をすると適切に答えを出してくれるようになりました。

 テクノロジーも発展し、スマホが欠かせなくなり、10年前と比べると生活も大きく変わっています。これからも社会は変化していくでしょう。

 社会の変化が小さいとき、将来どういう生活をするようになるのかは、ある程度見通すことができました。

 そのため、親や大人が子どもに「これだけやっておけば大丈夫」と思ったことを身につけさせることができました。

『自分の頭で考える子に育つ学ぶ力の伸ばし方』『自分の頭で考える子に育つ学ぶ力の伸ばし方』(川島 慶 ディスカヴァー・トゥエンティワン)

 しかし今は、人類史上、最も変化が激しいといわれる時代。

 そんな時代に、「これだけやっておけば大丈夫」ということはあるのでしょうか。

 今必要とされること、求められることは、この先もずっと通用するのでしょうか。

 今、子どもが身につけるべき大切なこととは、何なのでしょうか。
 それは、「知的わくわく」や「もっと楽しくおもしろくしたい」と思い「自分で考え、試行錯誤すること」であり、それが自然に発揮されるようになる力です。

 そして、それは、人類の長い歴史から見ると、人間にとって大切なことであり、その重要度は、直近の数十年と比較しても、今後より顕著に高くなっていくでしょう。