もちろん、自分にとっても、なかなかハードルが高いことではあるけれど、「しない」と意識しながら生き、そのトラップにはまりかけた時、「あ、やってんな、やめよ」と回避することができる状態が、目指したい境地である。
他人と比べていては
永遠に満たされない
私の人生のマントラ(心を落ち着かせるために唱える短い言葉)で、一番よく使っているのは「人は人」かもしれない。
諦め、というと、聞こえは悪いけれど、若い時に、他者と自分を比べることを放棄した。
自分が持っていないものを持っている人は世の中に山ほどいる。だから、社会の中の自分を、他者との比較で考えるのは危険だ。
私たちの人生自体がガチャガチャみたいなものなのに、比較の道に陥ることは、わざわざ負けるゲームに参加するようなものだ。
『今日もよく生きた ニューヨーク流、自分の愛で方』(佐久間裕美子、光文社)
世界は広い。どんなに容姿に自信のある人にだって、コンプレックスはあるだろうし、自分よりも頭の良い人、自分より稼ぐ人、自分より学歴のある人、自分よりおもしろい人は、どこに行ってもいるのである。
もちろん、私だって一見完璧な人生を「持っている」ように見える人を前にした時、自分より器用に見える人に会った時、「あんなふうになれたらなあ」と思ってしまうことと無縁ではない。
が、苦労や辛さのない人生はない。どんなに完璧に見える人だって、他人にはわからないことがある。絶対に。
自分に足りない資質を持っている人を見て、自分がダメに見える瞬間もある。が、どれだけ羨ましかろうと、真似を試みようと、自分は自分でしかない。自分には、自分しかできないのだ。







