「経営学の父」と呼ばれるのは誰か、あなたは即答できますか?
その名は――ピーター・ドラッカー。
彼が残した言葉は、時代を越えて世界中の経営者やビジネスパーソンの指針となっています。なぜ没後20年近く経った今も、ドラッカーは読み継がれ続けるのか。
『かの光源氏がドラッカーをお読みになり、マネジメントをなさったら』の著者である吉田麻子氏に、現代にこそ響くドラッカーのメッセージを伺いました。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局 吉田瑞希)
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ワークライフバランス、優先順位はどうつける?
――働く女性が増えてきた昨今、多くの女性が仕事・家庭・自己実現のバランスに悩みます。ドラッカーの考え方から、優先順位のつけ方について学べることはありますか?
吉田麻子(以下、吉田):いま「ワークライフバランス」という言葉が改めて注目されています。
複数のライフステージを重ね持つ女性にとってワークとライフのバランスをとっていくことは日常的に多重に精神を支配している重要なテーマです。
仕事と家庭の両立、そして自分自身の夢や学びとの調和――。
どうバランスを取っていけば悩む女性も多いのではないでしょうか。
私はこれまで全国で色彩の講座を行ってきましたが、受講生の中には多くの主婦の方もいらっしゃいました。
「昼間は会社で働いています。いつかパーソナルカラーを仕事にしたくて、週末は練習をがんばっています。家族のことも日々やることがたくさんあって、なかなかカラーの方が進みません」
そんな声をたびたび耳にします。
まさに、フランクリン・コビーの時間管理マトリクスで言えば、「緊急で重要なこと」を毎日抱えているのが主婦の生活です。
子どもが熱を出す、夕食の準備をする――「今すぐやらなければならないタスク」は常に山積しています。
働く女性にとっては、フルタイムであれパートタイムであれ、そのために多くの時間とエネルギーを使います。
キャリアの積み重ねで得た知識によって職場に貢献するにあたって、これもまた日々「緊急で重要なこと」に立ち向かう日々であるわけです。
一方で、「自己実現」はどうでしょう。
それは本人にとっては確かに“重要なこと”ですが、今すぐやらなければ誰かに迷惑がかかるわけでもなく、期限が明確に決まっているものでもありません。
つまり、「緊急性が低い」ゆえに後回しになってしまう領域です。
気づけば一日はあっという間に過ぎ、「今日も自分の時間が取れなかった」と感じる女性も少なくありません。
けれど、24時間という時間の総量は誰にとっても同じ。では、どうやって優先順位をつけていけばいいのでしょうか。



