黒井:その後は、互いに決め手がないまま、ロシア軍優勢でじわじわと進んでいます。でも、どうなれば戦争が終わるかと言うと、終わる要素がないのですね。

安価なドローンを
砲弾を撃つ感覚で使い倒す

黒井:ドローンの功績も議論になっています。ドローンはなんだかんだですごく役に立ってはいるのですが、ドローンだけで勝てるわけでもない。結局、他の武器システムとの統合運用の話になります。どう使って全体的な作戦能力を上げていくかという。

小泉:ドローンは絶対視してもおかしいですし、かと言って軽視もしないという捉え方でいいと思います。自動車に喩えれば、マニュアルトランスミッションがオートマに替わったとか、それと同じことと考えればいいのではないか。そのくらいの革命的なことではあります。

 でも、それで「これからはオートマの時代で、タイヤはオワコン」とか言い出したらおかしいですよね。タイヤがなかったら車は走りません。トランスミッションが変わったからタイヤは不要だみたいな言説があったら、それはおかしい。タイヤはタイヤで必要で、でもこれからそのタイヤの機能を高めていくにはトランスミッションなりパワステなりが必要だという話です。

 基本的に自動車であるということは変わらないわけです。そのシステム全体の何が変わったのか、という見方をする必要があるということです。

黒井:ドローンも、自爆ドローンはミサイルみたいなものですけど、監視システムとしては画期的に優秀ですよね。

小泉:それはザルジニー前総司令官も言っています。常にドローンが飛んでいるので、奇襲ができなくなった、と。

黒井:速度が遅いので落とされまくっていますが、安価なので数で勝負となっています。落とされてもまた飛ばす、と。

 そういう展開になるとは、私は当初は予想していませんでした。電波で操縦するので電子妨害に弱いし、接近しないと使えないからなかなか運用は難しいのではないか、と。数で勝負し、指揮ポストを前方に出すことなどで対策するというのは予想外でした。