その結果、眠りが浅くなり、睡眠の質が低下してしまうのです。朝起きたときに、ひどく頭が重く感じたら、夜中にいびきをかいていた可能性があります。

 一般に、起きているときや立っているときは、気道は周囲の筋肉に支えられています。気道の広さが確保されているために、いびきをかくことはありません。しかし、寝ているときは筋肉の活動が緩み、舌が喉の奥に下がったり鼻が詰まったりすることで、気道が狭くなってしまいます。

 いびきは、特にあお向けで寝ているときに起きやすくなります。重力によって、舌の奥がだんだんと下に落ちていくためです。そこで、いびきをかく人には、横向きで寝ることがすすめられます。そうすることで、舌の奥が落ちることなく、気道の広さを確保できます。単純ないびきならば、横向き寝によって約7割が改善するという報告があります。

 ただし、逆流性食道炎がある人は、右側を下にして寝ると症状が悪化するので注意が必要です。左側を下にして寝るようにしてください。

 肥満もいびきと関係があります。喉の周囲についた脂肪によって気道が狭くなっているため、横向き寝をしてもいびきが改善されるとは限りません。その場合、減量が一番の対策になります。

 寝る前にアルコールを摂取すると、舌や喉の筋肉が緩みやすくなります。すると、舌の奥が落ち込んで気道をふさいで、いびきをかきやすい状態になってしまいます。そして喫煙は、喉の炎症を引き起こすことで気道を狭くして、いびきの原因になりえます。いびきを改善したいのであれば、お酒は控えめにして禁煙を心がけてください。

 また、扁桃肥大鼻づまりも気道を狭くするので、いびきの原因となります。鼻づまりは花粉やハウスダストでも起こりますので注意が必要です。

睡眠時無呼吸症候群は
放置せずに治療を

 いびきの原因の1つに、睡眠時無呼吸症候群があります。睡眠中に呼吸が浅くなったり、一時的に止まったりする病気です。重度のものでは睡眠中に呼吸が何度も止まってしまうことで、同居の家族が気づく場合があります。