また、日野自の羽村工場を子会社として切り離し、トヨタの100%子会社として譲渡することにしている。同工場では、日野自の小型トラックに加えて、受託生産していたトヨタのダイナやランドクルーザー250などを製造しており、これらをトヨタは自前生産に切り替えることになる。

 日野自は今後、三菱ふそうと共にアーチオンの下で、事業会社としてそれぞれのブランドを生かしながら統合の相乗メリットを内外で発揮して、世界の商用車競争に打ち勝っていかねばならない。

 今回、日野自動車の決算では、通期(25年4月〜26年3月)の最終損益が400億円の黒字になる見通しが発表された。前期の2177億円の赤字から、黒字へと転換する。「北米認証不正問題などの整理を終えて、原価低減やトータルサポートなどで稼ぐ力が復活してきた」(小木曽社長)と総括し、30年までに日野自として営業利益率8%を目指す方針も打ち出すなど、反転攻勢への芽が出てきている。

 ただし、日本の商用車OEMとしては、日本自動車工業会会長でもある片山正則会長が率いるいすゞ自動車が、スウェーデンのボルボ・グループと連携している。21年にはUDトラックスを買収し、いすゞ・UDトラックス連合を形成するなど、国内では日野自・三菱ふそう連合に先行している。

 ちなみに、10月30日から開催されているジャパンモビリティショー2025(JMS)会場では、日野自と三菱ふそうの展示ブースは向かい合う場所となっている。一方で、隣接するブースには、いすゞとUDトラックスの共同ブース、さらには中国BYDの商用車ブースがあり、それぞれの競い合いを物語る格好となっていた。一方で、トヨタのブースでは、「勝手にトヨタグループブースとして、ダイハツも紹介する」と佐藤恒治トヨタ社長がトヨタと共にダイハツのプレゼンも行ったように、ダイハツはトヨタの“インナー”であることを明確化したのだが、それと日野自の立場は対照的なものとなった。

 いずれにしても、トヨタから“親離れ”した日野自が、ダイムラー主導で三菱ふそうと共に、商用車業界での生き残りを懸けてどのように変革していくのか。来年度からの動きを注目していきたい。

(佃モビリティ総研代表 佃 義夫)