「刑事手続き」から「反則金」へ
池:ところがその一方で、自転車が関係する事故の割合はむしろ上昇傾向にあります。
ルールを守らずに走る人が多いこと、ながらスマホや酒気帯び運転といった危険行為が増えていること、そして高齢者や子どもなど幅広い層が自転車を利用していること。そうしたさまざまな要因が重なっています。警察としても、これまで悪質なケースは検挙を行ってきましたが、実効性のある措置が取りにくかった。
これまでは自転車には「青切符」の制度がなく、違反を認定しても刑事手続き(いわゆる赤切符)にしかできなかったんです。つまり、手続きの負担が重く、現場の警察官も踏み込みにくかった。
F:そうですよね。「ちょっとあなた、ダメだよ~、信号守んなきゃ」と注意される程度でしたよね。正直な話、今まではゴメンで済んでいた。
池:そこで、法で定める反則行為に対して反則金で処理できる制度を整えようということで、今回の改正に至りました。ヤマグチさんの言う通り、禁止はされているけれども「注意で済む」ケースが常態化してしまっていたんですね。ところが、そうした積み重ねが、重大な事故を引き起こすことが少なくないんです。特に交差点でのアカムシや逆走は、自転車事故の大きな要因になっています。
一同:アカムシ!
池:や、失礼。警察官の符丁で、赤信号無視のことを「アカムシ」と呼んでいます(笑)。
自転車ユーザーは、交通違反をしている意識がない
池:信号無視は歩行者やクルマの進行を妨げ、接触や転倒につながる非常に危険な違反です。こんな略語になるくらい頻繁に発生する違反だということです。問題は多くの方が「これくらいなら良いだろう」と思っていて、自分が交通違反をしているという意識が薄いことなんです。
F:そうですよね。歩行者と一緒だろ、という意識です。







