これは、みんなと同じ選択・行動をし、集団の一員でいることに安心感を得られ、逆の場合には不安感を覚えるという働きです。私たちの遠い先祖が集団で暮らすことを選択したときから、協調性は重要な能力になったからです。
同調性バイアスに従って生きるとは、園児たちが散歩カートに乗りながら散歩をするようなものです。引率してくれる先生、カートを押してくれる先生がいる。
自分で意思決定する必要はないし、自ら動かなくてもいい。楽で安心です。
これが、カートの中の環境が快適で、先生たちのリードに間違いがなければ、全く問題はありません。ところが時代は変わりました。「先生たち、堂々とカートを押しているけど、この先は断崖絶壁なんじゃないか?」と思う人が増えてきています。「赤信号みんなで渡れば怖くない」といいながら、車がビュンビュン行き交う車道に突っ込んでいることがあちこちで起こっています。
同調性バイアスに従いすぎて、一枚岩になりすぎることにもリスクがある時代。だからこそ「社会から浮く」ことは、自分の人生を安全に進むために、あるいは社会全体に健全な変化を起こすためには必要なんです。このことは、100回伝えても伝えきれないぐらい大事なことです。
音楽の五線譜や睡眠方法…
常識はあっけなく変化する
さて、コンセプトを考えるとは、「常識や価値観を解釈しなおす」側面があります。でも、そもそも社会の常識というもの自体、あっけなく変化していくものです。
私たちは、音楽は五線譜で表現するという常識を持っています。ところが、そもそも江戸時代の日本には、ドレミのような平均律という考え方もありませんでした。
それが明治維新をきっかけに、日本の音楽を西洋式に無理やり当てはめるプロジェクトが進みました。そして今日を生きる私たちは、ドレミや五線譜がある世界をすっかり当たり前だと信じています。でも、今の音楽の常識は思ったよりも最近つくられたものなのです。
また、私たちは、夜に1回だけ寝ますよね。「一体何を言ってるんだ」「当たり前だろう」と思いましたか?
実はかつて、「分割睡眠」が行われている地域があったそうです。







