平均5日でまいばすけっとの在庫が一巡する!?脅威の回転率の背景
戦略2:店舗内の人件費のコスト削減
基本は少人数で運営でき、店長は複数店舗を掛け持ちし、パート・アルバイトはアプリを使って各店舗で2時間から働くことができるとされる。この運営方式は、コンビニのような1店舗単位のオーナー制では実現できない仕組みだ。
今後、「年収160万の壁」「週20時間の労働制限」など労働環境の変化にも比較的対応できる体制でもある。
戦略3:店舗の標準化
店舗内は40坪から60坪と標準化されており、商品の配置も各店共通であることから、臨時のヘルプも対応しやすい。
また生鮮食品の品ぞろえが充実しており、顧客層に合わせて量目を調整し、棚割りなども本部が決め、自動で発注している。これにより「鮮度×容量×オペレーション」を統合的に制御できること、店舗ごとのバラつきも抑え、これが安定的な粗利確保につながっている。
例えば、野菜の容量を、多すぎもなく少なすぎでもない頃合いのいい分量にすることで、顧客が食品ロスを解消できると同時に、店舗としても来店頻度を増やす効果がある。
そのため、ある1店舗だけ売り上げを上げすぎないことが重要になってくる。レジが混雑することを防ぎ、突出した売り上げをとらないことでオペレーションを回していくのだ。
1店舗で見ると、薄利であってもオペレーションが回ることを優先すれば、全体的に良いという考え方だ。
つまり他社との大きな違いは、1店舗が売り上げを突出して上げるのではなく、平均的に粛々と粗利を確保する――。これがまいばすけっとの強みである。
驚異の在庫効率――5日で一巡する“冷蔵庫モデル”
店舗の標準化は、いままで世間ではあまり言及されていない、脅威の店舗内の商品の回転数につながる。
第14期(2025年2月期)の決算公告によると、まいばすけっとの売上原価は2157億円、棚卸資産は30億円で、在庫回転率は約70回転/年となった。
これは在庫が平均5日で一巡する計算である。
なお、在庫回転率は、期首(前期末)に比べて棚卸資産が増加/減少している場合、わずかに上下する可能性がある。仮に前期末の在庫が同水準であれば、実質的に70回転前後で推移しており、高い在庫効率を維持しているとみられる。
ちなみに、一般的な食品スーパーの在庫回転率は、25~30回転/年、在庫日数12~15日なので、まいばすけっとの在庫回転は約2~3倍だ。
平均5日でまいばすけっとの在庫が一巡するという背景には、都心部で「必要なときに必要な分だけ購入する」ライフスタイルが浸透していることが見える。「冷蔵庫替わりの購買行動」であることを意味している。
つまり近隣が相互補完しあう「面のネットワーク」でも成り立っているのだ。







