3ドアは路面の轍(わだち)に敏感で、ステアリングに細かい修正舵を当て続ける必要があった。背の高さとホイールベースの短さゆえ、高速域ではどうしても“落ち着きのない挙動になった。ノマドは、その辺りがグッと落ち着いている。今回は片道わずか50キロほどの行程だったが、さらなる長距離移動になれば疲労度の違いは明らかだろう。
とはいえそこは本格クロカン車。乗用車並みにしっとり……というわけにはいかない。
ステアリングのギヤボックスはオフロード走行を見据えたボール循環式で、キックバックを防ぐためのオンセンター付近の“遊び”はしっかり残されている。高い重心とラダーフレーム構造ゆえ、高速でカーブに入るとそれなりにロールする。5枚ドアになったからと言って、安楽なSUVになったわけではない、ということだ。
Photo by A.T.
100km/h前後で流している限り、エンジン回転はMTでおおむね3000rpmほど。風切り音とロードノイズはそれなりに入ってくるが、ステレオの音量を少し上げれば、十分に凌げるレベルだ。内装がビリビリとビビるような安っぽさは一切感じられない。ラダーフレームのオフローダーとしては上出来、と言っていい。
高速道路の上り坂での追い越し加速は苦手科目だ。一速落として引っ張ってやらないと、なかなか速度が上がらない。まあノマドにそこまで求めるのが筋違いというものだろう。
3ドアに比べれば車重は80kgも増えており、エンジンはそのままなのだから。同じエンジンで重量が80キロも増えれば、遅くなって当然なのだ。
高速を降りる。APIOに行く前に食事を済ませておこう。街道沿いのファミレスに入った。狭い駐車場。ここでマサカの事態が発生した。







