最小回転半径はクルマのサイズに比べてかなり大きい
複数回の切り返し。ノマドは最小回転半径が大きいのだ。狭い路地道も一発で曲がり切ることが出来なかった。シエラの最小回転半径は4.9m。一方のノマドは5.7m。この80センチの差は非常に大きい。5.7mと言えばあーた、トヨタのハリアーや日産のキャラバンと同じ数値ですよ。クルマのサイズからみると、この数字は大き過ぎる。
クルマそのもののサイズは全長3820mm、全幅1645mmと、依然としてコンパクトカーの範疇なのだが、取り回しサイズははるかに大きい。本格的に山に入る人は、狭い林道でのUターン時などに苦労しそうだ。
だがボンネットの四隅がきっちり見えるジムニー独特の“見切りの良さ”があり、複数回の切り返しでも、過剰に神経を尖らせる必要はない。
ボディが伸び、後席と荷室が“人並み”になったとはいえ、その下はスズキが長年かかって造り上げてきたラダーフレームとリジッドアクスルが支えている。
オンロードではマイルドになったが悪路を受け止め、突き進む力強さはしっかりと受け継がれている。高速道路の直進安定性、長距離での疲れにくさ、後席の居住性、荷室の実用性――このあたりは、間違いなくノマドに軍配が上がる。
5ドアになったことで、シエラより全長が340mm長くなった。最小回転半径も大きくなっている Photo by A.T.
しかしその分、後部座席は広くなっている。膝の前のスペースは広くなり、座席の圧迫感も減った Photo by A.T.
一方で、狭い路地での小回り性能、クイックさと軽快感、そして狭い日本の林道における取り回し。こちらは3ドアの勝ちだろう。
「どちらが“正しいジムニー”か」、という議論は無駄だろう。
アワビと松茸のどちらが偉いかを比べるようなものだ。それぞれに良さがある。
3ドアは相変わらず、山と悪路と趣味のための「原理主義ジムニー」であり、5ドアは、家族や荷物を背負って日常を走り、週末にダートへ遊びに行くための「生活実用ジムニー」と言えるだろう。
ジムニー&ジムニーシエラの荷室は4名乗車時で奥行きが240mmなのに対し、ジムニーノマドは590mm。2Lのペットボトルが6本入っている段ボールを4つ積むことができた(重ねれば8個いける)Photo by A.T.
後席を倒した時の荷室奥行きは1240mm。ゴルフバッグもギリギリ積める。ただ、構造上、荷室に段差ができてしまうのが……しかも意外とこの段差が邪魔。そのため、段差をなくすラゲッジボックスがディーラーオプションで用意されている Photo by A.T.
それでは最後に、このクルマの◯と×を。







