日本で寄付したい人の選択肢は?
控除はどのくらい?

 あとは寄付に関する体制の部分である。欧米では個人支援のために寄付を行えるネットのプラットフォームが充実していて、アメリカのGoFundMe、イギリスのJustGiving(イギリス発だが国際的に展開)などがある。

 アメリカ初のクラファン代表格・Kickstarterは規約で寄付金集めを禁止しているが、プロジェクトを達成するために出資を募るならオッケーなので、「教育や地域を支援するプロジェクト」という形でチャリティー的な運用をされることもある。

 日本には災害などへの寄付で知名度が抜群のYahoo!ネット募金や、チャリティ色の強いクラファンサイトとしてREADYFORやCAMPFIREがあるが、こちらの寄付先は個人ではなく施設や団体などが中心で、公共性が強い。「◯◯ちゃんを救う会」のような、個人への直接支援は制限されている傾向がある。

 また、アメリカでは寄付金控除が日本に比べて強い。ためしに調べてみて、細かいルールまで理解しようとしたら難解すぎて脳がショートしたため、自分のためにもものすごく簡単に大要を書く。

・寄付する先の選択肢がたくさんある(日本は限定的だった)

・控除額のマックスは所得の60%(日本は40%)

・アメリカは寄付金控除の手続きや控除額の計算が簡単

 である。

 日本ではふるさと納税が出てきて、あれは自治体への寄付なので寄付先の選択肢は一気に広がった。とはいえ実態は寄付しているというよりか、節税対策ついでに買い物をしているような感覚であろうか。

 アメリカでは、国に税金を収めるくらいならそのお金を支援・応援したい団体に寄付しよう、という考え方が自然に生まれそうである。

 加えて、キリスト教で培われてきた精神性によって寄付がますます盛んになる。

 キリスト教と一口に言っても諸派があり、物質的な「富」についても「富それ自体が罪だ」とか「いや信仰の過程で清貧な生活をして富が貯まったならいいじゃないか」とか、富の独自の解釈の実践やややこしい議論をずっとやってきたわけだが、その中でも「地上で富に固執すると信仰の妨げになって危険だぞ」「余剰な富は社会に還元しよう」といった考え方はわりと多数の支持を得たと見えて、現代ではそのイデオロギーを感じることができる。

 であるから、米国での寄付は支援したい相手を支援できて、節税対策になって、かつ信仰も達成できるという一石三鳥(あるいはそれ以上)の行いなのであった。