環境変化が激しく、事業が専門分化していく中では、経営者一人では対処し切れない問題が多数発生します。また、自分の専門領域ではないことに対する意思決定を求められることもあるでしょう。一度の意思決定でうまくいけば良いですが、場合によっては結果が芳しくないこともあります。
そこで大事になるのは、そうしたときに、経営幹部で知恵や情報を出し合い早期に軌道修正を図れるかどうかです。もし互いが強い信頼関係にないと、責任を押し付け合ったり、“自分の役割・立場とは関係ない”と静観してしまったりすることに繋がり、問題が悪化していきます。
互いに正解が分からない不安・リスクを承知の上で、それでも互いに一歩踏み込んで耳に痛いことでも言い合える関係性があるかどうか。さらには厳しいやり取りをした後でも壊れない関係性になっているかどうかが求められるということです。
しかし、育成段階ではどうしても「個のスキル・知識の充足」に目が行ってしまい、経営幹部の横の関係性に着目して対策を打っている企業は非常に稀だと思います。
経営幹部候補者の
育成段階から経営チームを作る
経営幹部候補者たちを思い浮かべ、「本音でぶつかっても壊れない関係性を持った人が一人でもいるか」を考えてみてください。そうした基準を持って関係性を見てみると、“そもそも話していない”というレベルから、”傍観・静観~会議の外に出ると不満ばかり“、”話してはいるけれど、突っ込みあってはいない“、”突っ込んではいるけれど言いっぱなし“など、様々なレベルがあることがわかるはずです。場合によっては、そもそもそういう人がいないというケースもあるかもしれません。
「経営者は孤独」といいますが、自分の真意を分かってもらえるような気の置ける人が一人いるかどうかで、経営者としてのふるまいは変わってくるはずです。本田宗一郎氏と藤沢武夫氏、井深大氏と盛田昭夫氏、松下幸之助氏と高橋荒太郎氏……振り返ってみると名経営者の横には常に支える人がいるものです。
だとすると、経営幹部候補者の育成段階から経営チームを作るということを目的に置いてみるのが良いのではないでしょうか。
(リクルートマネジメントソリューションズ コミュニケーションエンジニアリング部 エグゼクティブコミュニケーションエンジニア 河島 慎)







