円安10カ月ぶり「157円台」、市場為替レートは購買力平価となぜ大幅に乖離するのかPhoto:JIJI

円安進行は2022年ごろから
購買力平価は1ドル100円程度で横ばい

 10月上旬ごろから円安進行が目立っている円ドルレートは、11月19、20日には終値で1ドル=157円台となり、約10カ月ぶりの円安水準となった。

 積極財政・緩和維持を掲げた高市早苗氏が自民党新総裁となる一方、少数与党の下、野党の要求なども取り入れて財政支出が膨張するなどの見方から、金融市場で株高ともに円安が進んだ。

 高市政権の総額21.3兆円規模の総合経済対策が閣議決定された21日も、長期金利の上昇とともに円ドルレートは一時、157円台をつけたが、中期的に見ても、日本円の市場為替レートは、2020年には1ドルは100円程度だったが、22年ごろから円安が進んできた。

 だが市場為替レート決定の基本的な要因の一つである、日本とアメリカの物価上昇率を基にした購買力平価は、15年ごろの1ドル100円程度からほぼ横ばいだ。現在の1ドル95円程度は、むしろドルに対する円の価値が増価している。

 円安が進む市場為替レートと購買力平価の乖離は拡大している状況だ。

 ドル円の市場為替レートは物価動向だけでなく、金利差や景気、貿易収支などの実体経済の状況など、さまざまな要因が互いに影響を与えるという複雑な関係になっている。

 だが、いまの購買力平価でなぜ円高にならないのかは不思議だ。