では、まずテッペイがコード決済市場の競争でなぜ勝てないのか?について戦略の定石理論をもとに解説します。
コード決済市場はプレイヤーが林立しています。一番強いのがPayPayです。PayPayは通信系に分類されることもありますが、ソフトバンクユーザーだけでなくドコモユーザーもauユーザーも普通にPayPayを使っています。
PayPayが強い理由は戦略定石としては3つの要素で説明できます。まずは先行者優位。
まだ日本では誰もコード決済など知らない段階で、利用者も加盟店も先行して切り開いていきました。ブランドとしての第一想起の座を早々に獲得して圧倒的な先行優位を築いています。
PayPay成功の後でたくさんの競合が市場に参入しました。ドコモのd払い、auのauPAY、ファミペイ、メルペイ、イオンペイなど。交通系ではJAL Pay、ANA Payもあります。こうしてサービスが林立すればするほど、先に始めた知名度や初期利用者の多さが優位性として効いてくるものです。
2番目に破格のインセンティブを利用者に還元して大きくなったこと。戦略理論の言葉を使うと「PayPayは初期投資が莫大だった」とも言い換えられます。
PayPayが登場した際に最初に行ったのが利用額の20%をポイント還元するプロモーションでした。しかも上限が累積15万円の利用で3万円分のポイントが返ってくるという大盤振る舞いで、このキャンペーンはあっという間に話題となり、利用者が殺到して、あっという間に100億円のキャンペーン予算が枯渇して予定よりも早く終了することになりました。
普通の大企業の新規事業では、このような破格の消費者還元はそもそも社内の稟議が通りません。そこが孫正義CEOのすごいところで、後日談として話を聞くと、最初は「20%じゃなくて200%にしろ」と命じていたそうです。
担当者が「それは法律上できません」と必死に孫さんを説得して20%に落ち着いたのですが、それだけではありません。第一弾が資金が枯渇して早期終了したことですぐにまた100億円の予算を立て、第二弾の還元を実施しました。







