オフィスで会議をする若い男女写真はイメージです Photo:PIXTA

働きやすい企業と聞くと、福利厚生や残業時間の少なさを思い浮かべがちだ。だが本当に良い職場とは、「会社と社員が対等な関係」でいられる組織のこと。ロート製薬やライオンのように、社員をプロの仕事人として扱う企業には、ある共通点がある。働きやすい企業を見分ける「リトマス試験紙」とは?※本稿は、法政大学教授の石山恒貴『人が集まる企業は何が違うのか 人口減少時代に壊す「空気の仕組み」』(光文社)の一部を抜粋・編集したものです。

働き方改革で総労働時間は
減ったように見えるが…

 厚生労働省「毎月勤労統計調査」によれば、1994年の年間総労働時間は1910時間で、2022年は1633時間。これだけをみると、労働時間は激減しているようにみえる。

 しかし、これを一般労働者に限ると、1994年の年間総労働時間は2036時間で、2018年は2010時間。つまり、リーマンショックなどの特別な年を除けば、1994年から2018年まで、一般労働者の年間総労働時間は概ね2000時間台でほぼ横ばいなのだ。2019年が1978時間で、これ以降、ようやく2000時間を切る水準になった。

 これにはたしかに働き方改革の影響で減少傾向にあることを示しているかもしれない。しかし、まだ抜本的な減少に至っているといい難い状況だ。

 年間の所定外労働時間は景気変動のサイクルで増減するが、1994年は112時間で、2022年は121時間。水準としては変わっていないし、しかも2020年以降は増加傾向にある。

 このように、労働者全体で年間総労働時間が減少しているのは、正社員の残業が減少したわけではなく、単に労働者に占めるパートタイム労働者の比率が増えていることが原因なのである。