総予測2026Photo:JIJI

2026年の日本経済の成長率は「0%台後半」と25年を下回りそうだ。ただし、物価上昇率が鈍化し、26年前半には実質賃金はプラス転じ、家計消費を下支えする。投資と併せ、内需が堅調を維持する。特集『総予測2026』の本稿では、10人の専門家に、日本経済の行方を聞いた。(ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋)

賃上げと財政拡張で
内需は底堅い

 高めの成長は望めないが巡航速度――。2026年の日本の実質経済成長率は0%台後半となりそうだ。アンケート回答者10人の成長率の回答の平均は0.8%だった。1%台前半と想定される25年を下回るが、0.6%前後とされる潜在成長率をやや上回る。

 物価上昇の鈍化を背景に26年春闘における高い賃上げで実質賃金がプラスに転じ、家計の購買力が向上し、消費は堅調に推移するというのが回答者の多数意見だ。

 財政悪化が懸念されている高市政権の積極財政政策だが、歳出増加は26年の景気にはプラスに働く。10人中5人が景気へのプラス要因として政府の財政政策関連の項目を挙げる。

 企業収益も増益を続けるとみられ、好調な業績を背景に人手不足解消に向けた省力化投資、DX・GX投資が進むことで設備投資も増勢を維持する。

 こうした内需の好調さで、景気後退に至らないものの減速する米国経済、不動産不況が続き成長率が低下する中国経済を起因とする輸出の不振をカバーしそうだ。

 次ページでは、10人の専門家の回答を一挙掲載。物価動向やリスク要因などプロの見解をお届けする。