
トランプ関税ショックから一転、米国株は2025年初から10%以上上昇して推移している。楽観ムードが漂う一方、AIブームの賞味期限や割高な株価指標など懸念材料も少なくないが、26年はどうなるのか。特集『総予測2026』の本稿では、「26年の米国株は25年を上回る相場になるのではないか」と分析する大和証券の津田遼太シニアストラテジストに、強気の理由や米国株の具体的な投資戦略について聞いた。(構成/ダイヤモンド編集部 篭島裕亮)
「AI投資」「トランプ関税の緩和」
「金利の低下」がプラス材料
日米共に株価は高値圏にあり、上値で買うことに抵抗感がある個人投資家は少なくない印象だ。だが、2026年末のS&P500はメインシナリオで8000ポイントを予想しており、上値余地は十分にある。S&P500は25年初から10%以上上昇しているが、26年はそれを上回る相場になるのではないか。
プラス材料は大きく三つある。「AI投資」「金利の低下」「トランプ関税の緩和」である。S&P500の26年のEPSは前年比13.8%増を予想しており、25年の12.5%増から加速する見込みだ(11月7日時点)。
つだ・りょうた/個人および法人向け営業を経験した後、エクイティ調査部にて企業分析業務に従事。2025年より投資情報部で個人投資家向けの情報発信を中心に活動。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)、日本FP協会認定CFP。
特に上期は「企業収益の拡大」と「金利低下によるPERの拡大」が両輪となり、株価を押し上げることが期待できる。11月の中間選挙に向けた景気刺激策も上期にポジティブ材料として織り込まれやすい。
成長期待の高いセクターとしては米ハイパースケーラー(大規模なクラウドサービスを提供するIT大手)の設備投資が拡大する「情報技術」、サプライチェーンの再構築や製造業の国内回帰が追い風となる「資本財サービス」を挙げたい。26年の純利益成長率は情報技術が22.8%、資本財サービスは17.3%を予想している。
株価に割安感が残るセクターは「金融」と「ヘルスケア」だ。金融はサブプライム不安、ヘルスケアは薬価引き下げとそれぞれ問題を抱えているが、業績は悪くない。不安材料が払拭されれば、再評価につながるはずだ。
次ページでは個別銘柄を含めた投資アイディアについて具体的に解説。AI相場で躍進する企業や出遅れセクターの注目企業、「評価替え」が期待できる意外な企業を紹介する。







