Photo by Shintaro Iguchi
にわかにバズワードとなった「フィジカルAI」。生成AIの普及が目覚ましかっただけに期待感は高まっている。日系の製造業や通信事業者も巨大市場へ打って出ようと協業関係を盛んに結んでいる。フィジカルAIに商機を見出している各社の動向からは、手指の動きがカギになることがうかがえる。特集『総予測2026』の本稿では、巨額投資を続ける米中勢に対抗する、日系企業の勝ち筋を探る。(ダイヤモンド編集部 井口慎太郎)
2026年はフィジカルAI元年か?
いよいよハード×ソフトの協業が本格化
マラソンやボクシングを行うだけでなく、バッテリー交換まで自分で行う――。中国の人型ロボット(ヒューマノイド)が生き生きと動く映像は、急速な技術発展を鮮明に伝える。
ヒューマノイドやフィジカルAIでは米中企業が先行していることは紛れもない事実だ。中国のIT大手、アリババはロボットとフィジカルAIのグループを発足させ、巨額投資を行うと宣言。電気自動車大手の米テスラの最高経営責任者、イーロン・マスク氏も今後の企業価値の80%をヒューマノイドが占めるようになると公言している。
調査会社の米グランド・ビュー・リサーチは、フィジカルAIの市場規模が2030年までに19兆円にまで膨らむと見込む。
産業用ロボットで存在感がある日系企業だが、フィジカルAIでは米中の新興企業に出遅れたとみられがちだ。しかし、市場はまだまだ成熟しておらず、今後の勝ち筋は充分にある。
ロボットのハードを担うメーカーと、AIや電気通信技術を担う企業の同盟構築が本格化している。どの陣営が一歩先に市場を開拓できるのか。26年は趨勢を決める1年となりそうだ。
脚を使って歩くことでは米中のロボットが先行しているが、産業や生活支援でより求められるのは手指の細やかな動作だ。この動作をプログラムで制御するのではなく、AIで学習したデータに基づくものとし、幅広い用途に使えるようにする「汎用ロボット」が注目されている。
ロボットの稼働データを収集して効率的な学習につなげる「ロボット基盤モデル」の開発に着手しているのが、AIロボット協会(AIRoA)だ。トヨタ自動車や日立製作所、KDDIなどが参画する団体で、近年はデジタルソリューションを主力とするNEC、富士通も名を連ねる。
次ページでは、AIロボット協会の開発の模様と、ロボットのハードと、AIや通信技術のソフトを担う各社の協業関係の構図を明らかにする。







