総予測2026Photo by Masato Kato

ミツカンは売上高の6割以上を海外で稼ぎ出している。しかし、2026年に組織再編により目指すのは、日本事業の稼ぐ力を回復させることだという。金利が上昇し、カントリーリスクも増加する中で国内事業と海外事業のバランスをどのように考えるべきか。特集『総予測2026』の本稿では、創業家出身でミツカンホールディングス代表取締役社長の中埜裕子氏が語った。(聞き手/ダイヤモンド編集部 下本菜実)

顧客が満足する値頃感を追求
商品の価値向上へ生産も工夫

――2025年度の決算はどのような着地になりそうですか。

 24年度は売上高、営業利益共に過去最高となりました。25年度は北米事業が24年度ほどは振るわず、減収の見込みです。営業利益は前年度より少し増益での着地を見込んでいます。

 北米事業の主力商品はパスタソースなのですが、価格を引き上げた影響で、売り上げが昨年ほどの水準に届きませんでした。コロナ禍後に価格改定を進めてきた中で、ここにきて消費者の財布のひもが締まってきています。

 一方で北米事業では、14年に買収したパスタソースブランドの「ラグー」と「ベルトーリ」ののれん代を24年度で計上し終えました。食酢の工場再編や収益改善を進めてきたこともあり、利益面では増益となりそうです。

――国内事業ではインフレが加速する中で、納豆や食酢の売り上げはどのように推移しましたか。

 やはり、調理用の食酢は厳しいです。お客さまの“調理離れ”が起きている現状がありますが、まだ打ち手はあると思っています。

 納豆やポン酢などは、7月に69品の価格改定を行いました。納豆は想定していたよりも販売数量が落ちず、最も伸びています。25年は暑い日が続いたことや、米の価格が高騰したことで麺を食べる人が増えたのか、夏場にそうめんのスープもよく売れました。

 25年を通して感じたのは、お客さまが“値頃感”を重視していることです。昨年は納豆に次いで鍋つゆの売上高が伸びたのですが、これは意外にも高価格帯の商品が伸びました。値頃感というのは、単純に価格が安いのではなく、その商品に価格を上回る価値があって、得をした気分になっていただくことで提供できます。

 お客さまが何と比較しているのかを考えなければなりません。例えば外食と比べると、これまでより数百円値段の高い鍋つゆであっても、シーンに見合っていると思っていただける可能性がある。特別なものをどのように提供するか、生産ラインを含めて工夫していくことが重要だと感じています。

――売上高の6割以上を海外事業が占めています。将来的に国内と海外の稼ぐ力のバランスは、どのような割合を目指しますか。

ミツカンは1981年に米国の大手食酢メーカーを買収し、海外進出の足掛かりをつかんだ。14年にはパスタソースブランドを買収し、北米事業の主軸となっている。拡大する海外事業と国内事業のバランスをどう考えるのか。次のページでは、中埜社長が「理想の割合」を明かす。