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世界最先端の半導体を2027年に量産することを目指し、25年に北海道千歳市の工場で回路線幅2ナノ(ナノは10億分の1)メートルの半導体の試作ラインを稼働させたラピダス。26年は、量産技術の確立と顧客の受注獲得に向けた重要な節目の年となる。米エヌビディアを中心に急拡大するAI(人工知能)半導体市場にどんなチャンスを見ているのか。特集『総予測2026』の本稿で、小池淳義社長がその道筋を明かした。(聞き手/ダイヤモンド編集部 村井令二)
AI半導体は「2030年に1兆ドル」でラピダスに追い風
26年は顧客からの注文が決まる重要な年に
――AI(人工知能)半導体市場では、独走態勢の米エヌビディアに対して米AMDがチャットGPTを手掛ける米オープンAIと複数年の供給契約を結んで対抗するなど、新しい動きが出ています。AI半導体の市場拡大を、どのように見ていますか。
AMDのリサ・スーCEO(最高経営責任者)が、データセンター向けの半導体の市場が「2030年に1兆ドル」と予測しましたが、それくらいのインパクトはあると思います。
AI半導体の市場は、エヌビディアに対抗してAMDも成長してきていますし、米国のグーグル、アマゾン、マイクロソフトなど「GAFAM」も投資を加速させていて、われわれが量産を開始する27年に向けてタイミングよく伸びを見せています。ラピダスにとって追い風が吹いているのは間違いありません。
――ラピダスは27年に量産開始を予定しています。26年は顧客の受注が正式に決まることになるのでしょうか。
25年7月18日のカスタマーイベントで試作品の成果を発表しましたが、現在まで次々に試作品のロットをラインに流して、性能確認のデータを積み重ねているところです。
26年の前半は、引き続き特性の確認を確実に進めて、その成果を顧客(候補)に示して量産を見据えた打ち合わせへと入ります。その打ち合わせが受注確定につながるプロセスになるので、非常に重要な年になります。
すでにわれわれは、米IBMとの連携があるし、米AI半導体新興のテンストレントとのパートナーシップも発表している。26年の後半には、そうした顧客の名前が具体的に分かるでしょう。
――実際に受注企業を発表するということですか。
それは顧客次第ですが、おそらく顧客側から公表していただけるのではないかと考えています。
――例えばエヌビディアは台湾積体電路製造(TSMC)に対して「信頼できるパートナー」と表明していますが、そういったイメージでしょうか。
はい。顧客によっては(TSMCなのか韓国サムスン電子なのか)どのファウンドリー(半導体受託製造企業)に委託するのかを明らかにしたがらない場合もありますが、顧客の同意さえ得られれば、われわれとしてもそのような情報を公表していくことになるでしょう。
エヌビディアを中心に急拡大するAI半導体の市場。エヌビディアに対抗する半導体企業も台頭する一方で、実際に半導体を製造するファウンドリーがTSMCの1社に集中している構造問題はさらにクローズアップされそうだ。27年に量産開始を計画するラピダスへの期待は高まるが、26年の最大のハードルは量産技術の確立だ。さらには、顧客開拓と資金確保の面でも課題は山積している。難題にどう立ち向かうか、次ページで小池社長が語る。







