その場合、労働者は雇い主である店主に向かって、「時給を1200円から1500円にあげてくれ。それでもあんたは500円儲かっているだろう」と言うことは自由です。でも、そんなことを言うような人は多分雇ってくれませんよね(笑)。

 もちろん労働条件に不満があれば、そのお店を辞めて他のコンビニで働くこともできます。ただ、職場を選ぶことはできても、同じ地域で同じ業務内容では、大きく労働条件が変わることはないでしょう。

 資本主義社会において「労働力が商品化」されている場合、労働力商品の値段はそれほど大きく変わることはありません。

 少し話は変わりますが、どうしてコンサルと呼ばれる職業の人たちの年収は2000万円や3000万円といった、世間一般の基準から見て高所得と言われているのだと思いますか?

 実はマルクスが『資本論』(編集部注/第1部1867年、第2部1885年、第3部1894年)で説明しています。

 コンサルタントという仕事は、企業の経営が拡大するように戦略を立て、アドバイスをすることで対価を得ているわけです。

 つまり、彼らは労働者であるにもかかわらず、下の式でいうところのM/Vの中で剰余価値率を大きくしようとするわけですね。

「剰余価値率」の式「剰余価値率」の式 同書より転載

 要するに資本のために貢献する労働者なんです。こういった機能を持つので賃金は上がっていくわけです。その労働者がいることによって、それ以上の利益が上がるわけですから。

 それと、よく企業の管理職が、自分のことを経営者の一員だと思ってしまうのですが、それは部長職クラスだと大いなる勘違いです。彼らもプロレタリアートにすぎません。プロレタリアートだけど意識は資本家だっていう、それだけの話です。