しかし、それは全く現実的でない夢物語であり、このようなアプローチによるショッピング外部性の検証は不可能だと思われてきた。
しかしここで、筆者はかつて存在した東京築地市場(2018年に豊洲に移転)が不可能を可能にする検証の舞台を提供していることを発見した。
東京築地市場は、時代によって異なるものの、数百から千以上の水産仲卸が店を構える巨大商業集積であった。
また、水産仲卸という同業でも、扱う魚種や、規模や、専門化の程度など、さまざまな面で異なっているため、その中での同業種集積や異業種集積についての議論を行うことができる環境があった。
旧築地市場はショッピング外部性を
検証するための実験室
さらに最も重要なことに、築地市場には店舗抽選という制度があり、数年に1回、仲卸の立地がランダムにシャッフルされるという店舗移動が行われてきたのだった。
これにより、築地市場はあるエリアでは多様な種類の仲卸が存在する多様性のあるエリアを形成しているが、あるエリアはそうではない、といったように、ついで買いによるショッピング外部性を生み出す異業種集積の強弱が、エリアごとにランダムに生まれる状況になっていた。
これはもちろん各仲卸にとっても周りが多様な仲卸に囲まれるかどうかがランダムに決まるということでもある。築地市場はまさにショッピング外部性検証のための実験室のような場所だったのである。
例えば、図1は1990年時点で「大物業会」というマグロ・カツオを扱っている仲卸の店舗がどこにあったかを黒く塗って図示したものである。小さな長方形は1つの店舗スペースを意味している。
同書より転載







