いくらいいものを探したいからといって、10km離れたお店の間を買い回るのは相当な負担だろう。

 つまり、複数の店が少しずつ違うものを売っていて、かつ複数の店に行くことには費用がかかる状況だから、複数の店が近くにあることに消費者が魅力を覚えるのである。これは、「ぴったり買い」「ついで買い」両方に共通したメカニズムである(注1)。

「ついで買い」の証明は
不可能だと思われたが…

 Nakajima and Teshima(2018)(注2)は、商業集積やショッピング外部性を生み出す力として「ついで買い」に着目した。商業集積におけるついで買いの重要性を検証するためには、ついで買いによる便益が大きい店舗と小さい店舗がそれぞれどのような立地を行っているのかを検証するのが有効だろう。

 例えば、専門店のような扱う商品(専門的には財と呼ぶ)の範囲が狭い店舗ほど、他店舗をついでに訪れる客が多いはずなので、比較的ついで買いからの便益が大きくなるはずである。

 一方で、コンビニのように多種多様な商品を取り揃えている店舗は、そこに行けば必要なものは何でも手に入るので、ついで買いからの便益は小さいと考えられる。

 つまり、もしついで買いが商業集積において重要であるならば、専門店ほど他店や他の財の集まる場所に立地することになる。

 ショッピング外部性の存在を説得的に検証するためには、優良企業かどうかにかかわらずお店の場所をランダムにシャッフルするような実験を行って、各企業にとって近隣企業がどのような構成になるかがランダムになるような状況、つまり各企業にとって近隣企業の構成以外の要因が等しくなるような状況を作り、それでも専門店が集積しているエリアで各店舗の売り上げが上がっていることを確認する必要がある。

(注1)「ぴったり買い」「ついで買い」という用語は筆者の造語であり、前者はある研究者による提案、後者は築地市場での用法に基づく呼び方であり、専門的にはそれぞれ消費者の選好のモデル化において理想の財の種類がほしいと思うタイプの選好(ideal varietyと言う)、色々な種類の財をほしいと思うタイプの選好(love of varietyと言う)を消費者が持っているときの帰結として導かれるものである。
(注2)Nakajima, Kentaro and Kensuke Teshima(2018)“Identifying Neighborhood Effects among Firms:Evidence from Location Lotteries of the Tokyo Tsukiji Fish Market,” RIETI Discussion Paper Series 18-E-044.