再編を控えた2行のほか
経済縮小地域の銀行融資が減少
これらの一方、8行は残高を減少させた。
既述のとおり、相対的に規模が小さいため比率が変動しやすい第二地銀が、そのうち6行を占めた。
2割近く残高を減らした96位の長野銀行は、26年元旦に同一県内の八十二銀行と合併が予定されている。94位の福邦銀行も、24年10月に福井銀行によって完全子会社化が図られ、26年5月に合併が予定されている。両行では、これらの対応が融資取引の推進よりも優先された実情が見込まれる。
95位の熊本銀行と92位の十八親和銀行は、共にふくおかフィナンシャルグループに属する。熊本銀行は1年間に残高を1926億円減少させ、十八親和銀行は645億円減少させた。
他方、業種別の内訳の推移を注視すると、国・地方公共団体向けの残高を熊本銀行は2740億円減らし、十八親和銀行も1205億円減らしている。いずれも総合計を上回る減少幅であり、残高を減らした主要因に該当しよう。実務上では、2位の栃木銀行とは対照的に、地方公共団体への融資入札時に積極的な落札を意図した低金利などを提示せず、徐々に残高を減少させていった実情を見込む。
他の減少行とはやや事情が異なる様子なのが、東京都内に本店を置く93位の東日本銀行(-1.61%)だ。業種別の減少動向では、製造業の減少額が134億円と全体の半分強を占める。急激なインフレや円安は、中小企業・小規模企業者に幅広い負の影響をもたらしたが、これらを間接的に被った事態などが見込まれる。
91位の高知銀行(-0.63%)より上位は、減少幅が1%未満にとどまった。その高知銀行は、前回取り上げた預金の増加幅(0.86%)も1%未満にとどまる。24年10月1日現在の人口推計で、対前年比で人口を減らした都道府県のうち、高知県は秋田・青森・岩手県に次ぐ-1.56%となった。それゆえに、過疎化や経済縮小に向き合わざるを得ない地銀・第二地銀の苦境が数値に現れたものと考える。
秋田県に本店を置く89位の北都銀行(-0.22%)は、前回取り上げた預金も減少させており、高知銀行と同様に、地区経済衰退がもたらした影響が大きいものと見込む。
(オペレーショナル・デザイン(株)取締役デザイナー/データアナリスト〈沼津信用金庫 非常勤参与〉 佐々木城夛)







