また、本部を見れば、コメダの驚異的に低い販管費率(15%)を実現する鍵になっています。販管費に占める割合の大きい、人件費と広告宣伝費についてみてみましょう。
有価証券報告書によれば、コメダ本部の人員は120人となっていて、例えば店舗数が同規模の壱番屋の246人の約半分の規模です。
また、創業者の加藤太郎氏のインタビュー(高井尚之著『なぜ、コメダ珈琲店はいつも行列なのか?』プレジデント社)では、ファンドに売却した300店規模の2008年時点で、本部はわずか12人だったと語られており、店舗数に対して、本部規模が歴史的にもコンパクトであったことがうかがえます。
コンパクトな本部を可能にしている要因の一つが、ロイヤリティ制度にあると考えられます。
というのも、ロイヤリティが定額であれば、本部は加盟店の正確な月次売上を1円単位で監視・監査する必要性が薄れます。売上高の多寡にかかわらず、本部に入金されるキャッシュフローは一定だからです。
このため、FCに対する人的、ITシステム的なモニタリングコストの低減が見込まれます。
さらに、モニタリングと表裏一体の店舗指導も簡素化が期待できます。コメダの加盟店契約では、一般的な「巡回指導」に加え「メール・電話等による指導」も認められており、他社よりも柔軟な指導体制が敷かれていることがうかがえます。
これにより、例えばスーパーバイザーの少人数化が可能となっていると考えられます。有価証券報告書にある「FC本部のマーケティングや店舗管理・指導の負荷が低くスリムな本部機能を実現しております」という記述からも、その高効率な本部機能が見て取れます。
店舗数がほぼ同規模で、FC比率も近いサーティワンの広告宣伝費は約33億円です。一方、コメダの有価証券報告書では販管費の内訳として、広告宣伝費の記載がありません。
費目として、規模が小さいためと考えられますが、過去には広告宣伝費が記載されていたことがあり、例えば2019年度は2.5億円(当時約900店舗)に過ぎません。
地域密着で常連、リピーター中心の展開が、本部主導の広告宣伝に頼らない営業を可能にしていると考えられます。







