実はコメダは卸売業?
販管費がダントツ低いワケ
ここで「ある違い」に注目してみましょう。
同業で同じく東証のプライム市場に上場しているドトール・日レスホールディングスの業種分類は小売業ですが、コメダホールディングスの東証での業種分類は、実は卸売業です。
コメダの本部売上の74%は、コーヒーやパンなどの食材を自社工場で製造して加盟店に卸す「卸売売上」で構成されています。
ちなみに、コメダのコーヒーは店舗で淹れているのではなく、均一な味と品質を提供するために工場で淹れたものを店舗で加熱して使っています。この点で、コメダ本部はあたかも食品メーカーのようであり、食材の販売を主軸として利益を得る構造になっているのです。
必然的に売上原価率は高くなります。パン製造業の山崎製パンの原価率は67%でこれはコメダとほぼ同水準です。
一方、コメダが大きく異なるのは15%という、その低い販管費率です。金額ベースでも、店舗数やFC比率が同水準の壱番屋の256億円、サーティワンの127億円に対してコメダは70億円の販管費です。
定額ロイヤリティのメリット
コンパクトな本部
多くのFCチェーンが、本部の利益を最大化し、リスクを分散させるため、店舗売り上げの5%といった歩合制(売上連動型ロイヤリティ)を採用しています。それが業界の常識です。
ところが、コメダはこの方針をとらず、「座席数×1500円/月」という定額ロイヤリティを採用しています。筆者の試算では、ロイヤリティは本部の売上の約3%にすぎません。
本部が自らロイヤリティによる利益を制限し、FC加盟店の売上増加の恩恵をロイヤリティから直接受けないという、この一見「非常識」な逆張り戦略こそが、コメダの収益メカニズムを支えています。
この定額制は、「製造卸売業」という、コメダ独自のビジネスモデルだからこそ成り立ち、本部と加盟店の双方に徹底した合理性をもたらします。
加盟店では、売上が伸びてもロイヤリティの金額は変わらないため、頑張って売上を伸ばすほど、ロイヤリティの実質的な比率が下がり、店舗の取り分が最大化されます。
これは、店舗の長居戦略や長時間営業といった、加盟店の積極的な経営努力を最大限に引き出す設計となっています。








