良質な睡眠や美肌には
鶏肉を使った一品を
良質な睡眠や美肌のためには、夕食に鶏肉を使ったおせちを。
「鶏肉の皮や手羽先にはコラーゲンが含まれ、コラーゲンの一部はグリシンというアミノ酸に変わります。グリシンは体内時計に働きかけて睡眠のリズムを整えます。血管拡張作用もありますから、グリシンを摂取すると眠りにつきやすくなるのです」
「また夜は骨や皮膚などの再生が起きやすいので、その材料としてコラーゲンを摂取するのもいいと思います」(柴田氏)
お餅に「きな粉・ゴマ・海苔」を
プラスする深い意味
続いて「お餅」についても触れておこう。
お餅もおせちと同様に、例えば砂糖醤油(しょうゆ)のような甘いもの、糖質プラス糖質のような「あんこもち」のようなものは、朝や昼であればOK。
「きな粉やゴマをお餅にまぶしたり、海苔(のり)を巻くのもいいでしょう」と望月氏。
きな粉、ゴマ、海苔(のり)――これらはタンパク質や食物繊維が多く含まれるため、血糖値の急上昇を抑えられるという。
お餅を野菜とセットで食べると
糖質の吸収が緩やかに
日頃からお餅を朝食にしている農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)上級研究員の大池秀明氏は「野菜入りのお雑煮」を勧める。大池氏も時間栄養学の研究を長年続け、16年に日本農芸化学会奨励賞、17年に若手農林水産研究者表彰を受賞している。
「お餅は単体よりも、野菜とセットがいいと思います。食物繊維が豊富に含まれる野菜は、お餅に含まれる糖質の吸収を緩やかにして血糖値の上昇を抑えます。また一日の中で同じ量の炭水化物(主食)を取るなら、早い時間に摂取するほど血糖値のコントロールが良くなるのです」
「さらに朝に炭水化物を取った方が、その日の覚醒度が高いという報告もあります。私は普段の朝食でもお餅を選びますが、トースターでパンを焼くのと同じくらい手軽で、腹持ちが良いと感じています」
満腹感が得られる
お餅の食べ方とは?
ところが意外にもお餅は白米より消化吸収が早いという。望月氏は「食べ方次第で満腹感が変わる」と話す。
「お餅の原料であるもち米は、消化吸収が早いアミロペクチン(でんぷん)100%。一方でうるち米(通常の白米)はアミロペクチンが20%、人間の消化酵素で分解しにくいアミロースが80%です。ですから白米よりお餅の方が消化吸収は早く、またお餅は白米と同様にGI値(食後血糖値の上昇を示す指標)70以上と高GIで、食後に血糖値が上がりやすいのです」
「ただし、アミロペクチンが多いほど粘り気が強く出るので自然と噛(か)む回数が多くなるなど、お餅は満腹中枢を刺激する食品でもあります。よく噛(か)めば、少量でも早く満腹感を得られるということですね。また粘り気によって胃腸にとどまる時間が長く、腹持ちも良くなります」
さらに、海苔(のり)やきな粉などのタンパク源と一緒にお餅を食べると、満腹感が一層持続する。
「お餅の上に納豆と大根おろしをのせて食べる『おろし納豆もち』もいいですね。大根おろしは消化吸収を助けますから、これは夕食にも向いています」(望月氏)







