早稲田大学名誉教授の柴田重信氏
近年、「食べる時間帯」が注目されている。同じ食事内容や量であっても、食べる時間帯によって体に悪影響を及ぼすこともあれば、肥満や病気を予防し、栄養素の吸収率や効果を高めることもあるという。体内のリズムに合わせて「何を」ではなく、一日のうちで「いつ」食べるか。この視点から考えた食事法を「時間栄養学」というのだ。時間栄養学の観点から「おせち」と「お餅」の食べ方を徹底取材。「正月太り」を防ぎ、健康効果が高まる最強の食べ方を紹介する。(ジャーナリスト 笹井恵里子、監修/東邦大学名誉教授・医師 東丸貴信)
「食べる時間」を変えれば
「正月太り」は避けられる
お正月はおせちにお餅にと、おいしいものがたくさん。「正月太り」が心配になるが、体内のリズムに合わせて「食べる時間」を考えれば、ごちそうだって健康的にいただけるという。
「なぜなら私たちの体には体内時計という仕組みがあり、それが『食べる』『運動する』『眠る』といった身体活動をコントロールしているからです」
と、早稲田大学名誉教授の柴田重信氏(東京科学大学特別研究員、愛国学園短期大学特任教授)が説明する。
「2017年のノーベル生理学・医学賞では、体内時計をつかさどる時計遺伝子のメカニズムを解明した米国人科学者3人に授与されました。体のあらゆる細胞には時計遺伝子が働き、人が日中に活動状態となって夜は自然に眠くなるような一日(24時間)のリズムをつくっています」
「私は長年、どうしたら体内時計をリズムよく動かせるか、リズムに合わせた食べ方とは何かなどを研究してきました。この学問を時間栄養学といいます」
例えば消化に関わる胃や膵臓(すいぞう)、腎臓の働きは常に一定ではなく、それぞれに一日のうちで活性化する時間帯が異なる。胃や膵臓は正午、腎臓は夕方以降に活動のピークがあるといわれ、ホルモンの分泌や体温も一日の中で変動がある。







