日産だけでなくホンダも業績は悪い
2社の足元の業績を確認しよう。26年度3月期の中間期決算では、日産は2219億円の最終赤字。通期見通しは、本社売却で特別利益を計上する見込みはあるものの、数値の公表を見送るなど黒字化への目途は立っていない。
一方のホンダは最終利益を3118億円確保したものの、前年同期に比べると37%減。しかもその内容は、四輪事業が730億円の営業赤字で、二輪事業の営業利益3682億円がカバーしている。
もっとハッキリ言えば、近年のホンダは四輪事業の赤字続きで、二輪事業に“おんぶに抱っこ”でリカバリーしている。四輪事業はEVへの投資、コスト高が収益を圧迫。さらに米GMとのEV提携解除による損失計上もある。「四輪事業の収益性は、かなりの危機感を持って対応していかねばならない」(藤村英司・ホンダCFO)と認めるほど深刻だ。
三部ホンダ社長の成果が見当たらない
自らを“波乱万丈型”経営者だという三部氏。21年4月のホンダ社長就任直後、「脱エンジン宣言」をした勢いは良かった。しかしその後、「具体的に何の成果を挙げたのか」には疑問符が付く。米GMとの協業連携は頓挫し、日産との経営統合も白紙になったのは先述の通り。
成果はソニーグループとのEV合弁会社設立くらいか。ブランド名「AFEELA(アフィーラ)」で、2社の技術を結集させた高付加価値EVを開発し、26年中に納車開始を目指している(まず北米、次に日本)。しかし、実験的な意味合いであり、収益に大きく貢献するものとはあまり想像できない。そもそも世界的なEV大減速で、先行きが見通せない。
不祥事で副社長が辞任の誤算
三部体制には当初、特別な見方がされていた。それは、創業者の本田宗一郎を支えた藤沢武夫以来の、技術系トップ×営業事務方のナンバー2を再現する体制だ。
その立場を担っていた、三部社長の右腕だった青山真二前副社長が、懇親会での不適切行為という不祥事で辞任したのは大きな誤算だった。
三部体制が5年目を迎えようとする時期、花道を飾る成果が欲しいところである。しかし、それが見当たらない。本来なら次期社長候補の名が挙がる時期だというのにもかかわらず、である。
三部ホンダ体制の“仕上げ期”が差し迫っている。四輪事業の収益立て直しを兼ねて、日産と再び経営統合を模索する可能性はあるだろう。







