ジャパンモビリティショーで愛車について話すホンダの三部敏宏社長(左)とトヨタ自動車の佐藤恒治社長 Photo:JIJI
ホンダと日産自動車が経営統合を検討していると報じられて早1年。スピード破談して以降、2社の業績は冴えない。今や、三菱自動車も含めた3社は“弱者連合”であり、世界1位のトヨタとの差は開くばかり。三部ホンダ社長は“仕上げ期”が差し迫る中、花道を飾る成果を出せるのか。(佃モビリティ総研代表 佃 義夫)
日産とホンダは「ヨリを戻す」か?
ホンダと日産自動車が経営統合を検討する動きが表面化したのはちょうど1年前、2024年12月23日のことだった。
三部敏宏・ホンダ社長と内田誠・日産社長(当時)に加藤隆雄・三菱自動車工業社長も加わった緊急会見。会場はあふれんばかりのメディアが詰めかけた。興味深かったのは、発表文書の文字面こそ日産が前でホンダが後だったが、いざ会見が始まると三部ホンダ社長がずっと説明していたこと。つまり、統合検討は「ホンダ主導」が明確だった。
当初予定では、25年6月に経営統合が最終合意され、26年8月に共同持株会社が設立されるはずだった。世界販売台数ランキング1位のトヨタグループ連合、2位の独フォルクスワーゲングループに続く「ホンダ・日産・三菱自連合」が誕生する――周囲の期待は高まった。
しかし、結論は思ったよりも早く出た。2月13日にホンダ・日産・三菱自工の社長が再び並んで「経営統合協議を打ち切る」と会見。スピード破談が白日の下にさらされた。
破談の理由は、ホンダが日産を完全子会社化することに日産陣営が反発した、ホンダ側も交渉が下手だった、など色々と報じられている。いずれにせよ当初はホンダ主導で経営難の日産を救済する意味合いがあったことは確かなはずだ。
瀬戸際の日産は4月、メキシコ出身で商品企画畑のイヴァン・エスピノーサ氏が新社長に就任。その後は工場閉鎖などの大リストラを敢行、横浜本社売却にも踏み込んだ。「一定の効果が現れてきている」(エスピノーサ社長)とも強調する。
そのエスピノーサ社長が、トランプ関税でさらに厳しくなっている米国事業をテコ入れするため、「ホンダとの共同車両開発」に言及した。すわ「ホンダとヨリを戻すのか」との見方が浮上しているのだ。
鍵を握るのが、社長就任5年目を迎えようとしている三部ホンダ社長だ。







