「オープン当初の2022年9月から2024年2月までの期間、ジローラモ氏よりサウナタイガーのPRのご支援をいただき、その後も掲載が継続していたものです。なお、ジローラモ氏は店舗の運営管理に関与していたわけではございません」
 
 つまり、「サウナの監修をしている」という“体”のイメージキャラクター契約を1年5カ月続けてきただけですよ、というワケである。「監修者」という役割も演じてもらうわけなのだから、サウナタイガーがジローラモ氏側に支払うギャラは、単に広告やイベントに起用するよりも高いことは言うまでもない。

 ということは、サウナタイガーの経営において、このローンチ時からのマーケティング費用はそれなりの重荷になっていた可能性もある。そこに加えて、「とにかく有名人に監修されたら知名度が上がって軌道に乗るだろ」というような思いが透けて見えるような企業は、安全面で重大なミスを犯す傾向が強い。

 わかりやすいのは、タレントの藤本美貴さんがメニューなどを監修したという触れ込みの焼肉チェーン「美貴亭」だ。

 当初、藤本さんの顔がデカデカと看板に掲げられたこの焼肉屋は注目を集めて、活況だった。しかし、神奈川県内の店舗で、高校生16人が腹痛など訴え、3人が入院する事件が起きる。調理スタッフの衛生管理がずさんで、腸管出血性大腸菌O157による食中毒を発生させてしまったのだ。

 このときも運営会社は、今回のジローラモ氏と同様の「ネタばらし」をおこなっている。

「メニューには『ミキティ考案』とうたった商品もあったが「実際は会社が考案したもの。藤本さんが考えたわけではない」と明かした(2012年6月10日 スポニチアネックス  https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2012/06/10/kiji/K20120610003433940.html)。 

 その後、「美貴亭」は4店舗がすべて閉店に追い込まれた。有名人監修による知名度向上・宣伝に力を入れるのではなく、焼肉店として本当に大事なことに注力すればもっと別の未来があったかもしれない。