一方、別の会員制サウナ施設をチェックしてみると、経営者の方は異業種の経営者で実績があるのだが、サウナ好きが高じて開業をしたという情報が出てくる。もちろん、そういう企業もあって然るべきだが、安全面というところではちょっと不安になる。

 「サウナ好き」と「施設の安全意識」というのは、実はまったく関係がない。

 たとえば、2023年から非常用ベルの電源を入れていないと報じられたサウナタイガーの創業者は、オープン時のプレスリリース(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000110640.html)などで「サウナ歴が25年ということもあり、長い間プライベートサウナを作りたいという思いがありました」と強いサウナ愛を口にしているのだ。

 サウナが好きで好きでしょうがなくて理想のサウナをつくりました、という熱い思いと、100度の個室を安全に管理して利用者の健康や体調に配慮する、という経営者の責任感はイコールではないのである。

 だが、中にはこのような「経営者チェック」さえも面倒臭いというサウナーもいるだろう。そこで最後に、手軽だがわりとバカにできないチェックポイントをお伝えしよう。

 それは「有名人が監修やらプロデュースということでPRしていないか」ということだ。

「○○氏監修」で安全が
軽視される構造的な理由

 いくつもサウナ施設を展開するような規模であればいいが、そこまでのマーケティング費・広告宣伝費を捻出できる体力がない会社の場合、投資の回収をするのでアップアップになって、安全面が二の次、三の次になってしまう恐れがあるからだ。

 サウナタイガーでは、オープン時にモデルのパンツェッタ・ジローラモ氏を「GM」(ゼネラルマネージャー)として監修している、と大々的に宣伝していた。
 お察しのいい方はピンときたように「監修」と言っても「名義貸し」のようなものだ。新商品や新施設はローンチ時に芸能人や著名人を起用して「○○さんプロデュース」などとうたうことがよくある。

 だが、実際は単なるイメージキャラクター起用なので、商品の開発や施設運営には関わっていないことがほとんどだ。今回の事故後、サウナタイガーもホームページ上で以下のような「ネタばらし」をしている。