26年にAIと財政「過剰投資」の調整は起こるのか?株価バブル崩壊回避の鍵は生産性上昇Photo:Bloomberg/gettyimages

トランプ政策対応で主要国が財政拡張策
AIブームが成長率を押し上げた25年の流れ続くか

 2026年の世界経済の二つの注目点は、主要国での財政赤字拡大と巨額AI関連投資の行方だ。

 25年のグローバル経済およびグローバル市場で起きた最も特徴的な事象は何だったかというと、「トランプ政権誕生へのカウンター・リアクション」と「想定を超えるAIブーム」だった。

 各国、各地域で、「自国第一」を掲げるトランプ政権の関税引き上げや対外支援縮小などに対応して、さまざまな形で政策が動いた。経済的な影響が大きかったのは財政政策だ。

 中国は早々に、トランプ関税の主たるターゲットであることを認識して、財政拡張の方向を打ち出した。欧州では、米国が欧州の安全保障への関与を弱めていくことを想定して、防衛予算の拡大に向かった。そして、米国自身も、関税引き上げによる物価上昇の成長押し下げを相殺するに足る規模の財政政策を実施することとなった。

 結果として、米国も含めた世界全体での財政収支は、26年にかけても赤字幅が緩やかに拡大する見通しだ(IMF予測、2025年10月時点)。

 主要国の財政赤字対GDP比は、少なくとも、トランプ第2次政権発足前の24年の時点では、25年と26年も緩やかに縮小が続くと見込まれていた。それが、世界的な景気回復局面にあって、緩やかとはいえ財政赤字が拡大方向となること自体が異例のことだ。

 各国、各地域でトランプ政策への対抗措置として取られた財政拡張政策や金融緩和政策は、結果的に、世界経済への「負のインパクト」を相殺するのに十分な規模に達した。

 さらにその動きが明確になってきた昨年後半には、米国を中心としたAIブームによる経済成長押し上げという追加的な材料も加わってきたのだ。

 AIの技術進歩が企業、産業ベースの動きを超えて、マクロ経済全体にも影響を及ぼし始めたという点で、25年は画期をなす年になった。

 26年はこうした財政拡張とAI関連投資のプラス効果が続くことになるのか。

 日本では今年に入っても、長期金利の上昇が続き、1月6日には、新発10年国債利回りが2・130%と1999年2月以来、26年11か月ぶりの高さになった。一方でAIブームの行方にも、否定的な見方が出ている。

 財政とAIの巨額投資が本格調整に向かうのかどうかの大きな鍵は、AIの“実装効果”だろう。