会談を前に握手する高市早苗首相(右)と日銀の植田和男総裁=11月18日、首相官邸 Photo:JIJI
日銀、政策金利0.75%に引き上げ
高市首相は円安回避で利上げ容認!?
日本銀行は12月18~19日に開いた金融政策決定会合で、事前に予想されていた通り、政策金利を0.5%から0.75%への引き上げを決めた。政策金利は約30年ぶりの水準となる。
自民党総裁選挙などで積極財政・緩和維持を掲げ、10月の政権発足前から、利上げを強くけん制していた高市政権の下でも、日銀が利上げを実施できることが証明されたことの意味は大きい。
決定直後に材料出尽くし感などを受けて、為替市場は円安に振れたが、やや長い目でみれば、今回の利上げは円安加速のリスクを軽減することになり、物価の安定を通じて個人消費にプラスとなるだろう。
追加利上げの実施に向けた経済や物価の環境は、前回10月の政策決定会合時点ですでに整っていたと考えられるが、それでも利上げを見送ったのは、金融緩和の継続を望む高市早苗首相が、日本銀行の利上げをけん制していたためだ。
高市首相との決定的な対立を避けるために、日銀は10月利上げを見送り、水面下で官邸などとの調整を進め、今年1月以来の利上げを実現させた。
高市政権は、足元で円安が進む中、今回は利上げを容認する姿勢に転じたとみられる。
決定会合後の記者会見で、植田和男総裁は、トランプ関税の影響などの不確実性が薄れ「インフレ率、成長率とも下振れリスクが低下した」とし、「見通し期間の後半には基調的な物価上昇率が2%目標と整合的な水準で推移する見通しが実現する確度は高まった」と、26年も利上げを進める考えを語った。
日銀は政策金利を26年9月には、おおむね中立的な金利水準となる1%まで引き上げをめざすと予想される。
だが高市政権は引き続き利上げ自体は歓迎していないとみられ、来年以降も、利上げを巡る高市政権と日銀との対立の構図は続くだろう。







