「結婚指輪NG」
厳しすぎる空自のルール
それでは最後に、大空を舞台に活動する航空自衛隊のルールやタブーを見ていこう。
「航空自衛隊には、『飛行場のエプロン(駐機場)を歩く際は、直線・直角で移動する』という独自ルールが存在します。よそ見をせずに真っすぐ歩き、方向転換する際はしっかり90度に曲がります。人が視線の方向に動いていることが分かるので、航空機との衝突防止になるからです」。
こう明かすのは、元航空自衛官で航空機搭乗員でもあった、中国軍事専門家の薗田浩毅さんだ。
「航空自衛隊の安全管理は厳重で、当時は『アクセサリーを身に着けるな』と言われていました。私は結婚指輪すらつけていませんでした。万が一、指輪が何かに引っかかり、指がちぎれることを防ぐためです」(薗田さん、以下同)
Photo:Takashi Aoyama/Gettyimages拡大画像表示
というのも、航空自衛隊は「航空機に石ころ一つ付着させない」という厳重な管理体制をとっている。業務用の自動車などが飛行場地区に侵入する際は、必ず「FODシェーカー(付着物除去板)」と呼ばれる板の上を通過し、異物を取り除かねばならない。
その上で念には念を入れ、クルマのタイヤに石ころが付いていないかを目視で確認する。タイヤから落ちた小石などが、高速回転する飛行機のエンジンに吸い込まれると、エンジンブレードを傷つけて推力が低下するだけでなく、最悪の場合は墜落につながるからだ。
「石ころですら許されませんから、ドライバーなど工具を無くしたとなると、見つかるまで全員で探し出します」と薗田さん。やはり空自の慣わしも航空安全に直結しているのだ。
とはいえ、合理性・安全性を追求する空自にも、やはり迷信は残っている。






