「最も大きなプレッシャーがかかる背番号は何か、を考えたときに、このクラブに一番タイトルをもたらした人の背番号ではないかと、次に背負うのは自分だという思いに至りました」

日々の練習に厳しさが増して
「新しい鹿島が生まれた」

 今シーズンの鹿島には鈴木に加えて安西幸輝、植田直通、三竿健斗、そしてキャプテンの柴崎岳と一度は鹿島からヨーロッパへ挑戦しながら復帰している選手が数多く在籍している。鈴木が続ける。

「みんな鹿島が大好きで、強い鹿島を知っていて、鹿島が苦しんでいる姿も海外から見ていて、何とかみんなで優勝したい、という思いをもって帰ってきた。そういった選手たちの思いや努力だけでなく、どれだけのものをこれまで犠牲にしてきたのか、というのも本当によく知っているので」

 鈴木をはじめとする選手たちの思いが強すぎた分だけ、どんどんプレッシャーも増してきたのだろう。だからこそ、鬼木監督の言葉は選手たちに目の前の戦いだけに集中させ、本来の力を十二分に引き出す響きを伴っていた。さらに指揮官のアプローチは、メンタル面以外の改革にも向けられている。

「誰よりも監督が妥協を許さないんですよ。特にフォワードは点を取った次の週は気持ちよく練習できるんですけど、そこで普通に怒られる。それが自分を含めたチーム全員に対して現状に満足させず、さらに上を目指していく意識にさせて、結果としてチーム力のアップにもつながっていった」

 日々の練習において厳しさと激しさが一気に増したと歓迎した鈴木は、さらにこう続けている。

「自分や植田(直通)くんのように年齢を重ねると、普通は監督からは何も言われなくなる。そこでチームの中心になるような選手たちに厳しく言って、僕たちも厳しさにしっかりと向き合っていけば、年下の選手たちも『やらなきゃいけない』となる。厳しい分だけ、監督は常に自分へベクトルを向けている。

 ボスが自分にベクトルを向けている以上、選手たちも自分にベクトルを向けないわけにはいかない。その意味ではこれまでの鹿島が復活したというよりも、新しい鹿島が生まれた感じだと思っています」