コンプライアンス時代に「一夫多妻制アイドル」が受けた理由

 清竜人25の洒脱さは、このコンプライアンス時代に「一夫多妻制」という不穏なワードを臆することなく出し、しかも誰も不幸にしない、コンセプトの妙にもあった。

『Will you marry me?』では、根拠はよくわからないがやたらと自信に満ちた男と素直に愛される女たちの歌詞が、ファンクなメロディに乗ってただただ楽しく、掠れるようなイケボのファルセットで優しく、そして夫人たちの透明感ある声で可愛くみずみずしく歌い上げられる。

 続くシングル曲『青春しちゃっていいじゃん』『KARESHIいるんだって』『世界を愛せますように!』も、それぞれ異なる表情とニュアンスを持ちながら、ポジティブかつ多層的なラブソングであることで一貫していた。清竜人の広範な音楽世界から編み上げられたラブソングが持つ、誰が聞いても気持ちのいい確かなキャッチーさと、音楽偏差値の高いメロディーは、まさに本人が口にする「上質なポップス」の具現化だった。

清竜人25「KARESHIいるんだって」。リユニオン(再結成)ツアーファイナルのライブの様子
清竜人25「世界を愛せますように!」MV。ライブではアンコールで歌うことが多かった盛り上がり曲

 極めつけは、4人の夫人たちそれぞれとのデュエット曲を収めたEP「DARLING」。冒頭に収録されたのは、夫人たちが清竜人本人への愛を「死ぬまでハッピー」「竜人くんはやめられない」と歌い、「竜人くんって、天才だと思うの」と竜人の才能を称えあげる"頭おかしい"の極致曲「竜人くんが大好きです!」である。