人事部に相談し、「介護休業制度」を選択
限界を感じた斎藤さんは、年度替わりのタイミングで会社の人事部に相談しました。担当部長からは「介護休業制度を利用してはどうか」と提案があり、会社がアドバイザリー契約を結んでいる介護系企業のケアマネジャーとの面談が設定されました。
「93日間の介護休業を取得して、その間に父の介護体制を整えれば仕事に復帰できるとアドバイスされました」と斎藤さん。同社は訪問介護、家事代行、配食サービスをパッケージで提供し、斎藤さんが職場復帰できるよう支援すると約束してくれました。
斎藤さんは介護休業を取得し、父親の介護に専念することにしました。しかし、現実は厳しいものでした。
「休業して父と24時間一緒にいるようになってから、父の症状はさらに悪化しました」と斎藤さんは語ります。正雄さんは息子を常に視界に入れておきたがり、トイレにも付いてくるようになりました。夜中に何度も起こされ、「おむつを替えてくれ」と言ってきます。
ヘルパーが訪問しても、正雄さんは「息子がいるから必要ない」と拒否。介護のプロであるヘルパーですら対応に苦慮する状況となり、次第に訪問時間が短くなっていきました。
斎藤さんは介護休業を取得して1カ月が経過した頃、正雄さんの施設入所を検討し始めました。しかし、同社に相談すると「もう少し在宅で様子を見てはどうか」と言われ続けます。後になって分かったことですが、同社は施設介護サービスを事業展開しておらず、在宅サービスの受注ありきだったのです。
「離婚も考えたい」妻・娘が家を出ていった
介護疲れで限界を迎えた斎藤さんは美智子さんに助けを求めましたが、予想外の反応が返ってきました。
「主人は父親の介護に明け暮れ、私たち家族のことを考える余裕がなくなっていました」と美智子さん。「このままでは私たちの家庭も崩壊すると思い、一時的な別居を提案しました」
斎藤さんが介護休業を取得して2カ月目、美智子さんと香織さんは斎藤さんの実家から離れ、美智子さんの実家へ引っ越しました。さらに美智子さんからは、「このまま状況が変わらないなら離婚も考えたい」と告げられました。







