黒田東彦の世界と経済の読み解き方1990年代から日本は長期低迷に陥った一方、アジア諸国は経済成長を続けた Photo:Constantine Johnny/gettyimages

日本経済は1990年代から「失われた30年」とも呼ばれる長期低迷に陥ったものの、アジア諸国はその間も成長を続けた。前日本銀行総裁の黒田東彦氏が執筆するダイヤモンド・オンラインの連載『黒田東彦の世界と経済の読み解き方』の今回のテーマは、「アジア諸国の経済発展」。アジア諸国が日本よりも経済成長できた理由と、今後も発展を続けるために進むべき道とは?

日本経済は低迷でもアジア諸国は順調成長
韓国・台湾の一人当たり名目GDPは日本超え

 日本経済は1950年代後半から70年まで、年平均10%程度の高度成長を遂げた。だが、71年のニクソンショックで1ドル=360円の固定相場が崩壊し、円高が進行する中で減速。73、79年の2回の石油ショックを経て、5%前後の安定成長に着地した。

 その後、80年代後半の資産バブルが90年に崩壊し、金融機関の不良債権問題が深刻化する中、90年代の経済成長率は1.5%程度に下落した。さらに、98年に始まったデフレの下で成長率は0.5%程度まで低下したものの、2013年からのアベノミクスによって、成長率は1%台前半まで回復し、現在に至っている。

 日本経済が1990~2024年に1%前後の成長率で低迷している一方、アジア諸国はこの間、順調な経済発展を遂げた。1人当たり名目GDP(国内総生産)の推移を見ると、日本はドル円レートの変動を反映して大きく上下したものの、アジア諸国は成長を続けている(下図参照)。

 特に、韓国と台湾の1人当たり名目GDPは、97~98年のアジア通貨危機や08~09年の世界金融危機(リーマンショック)の影響を受けつつも順調に伸び続け、24年には韓国が3万6000ドル、台湾が3万4000ドルと、いずれも日本の3万2000 ドルを上回るに至っている。