日本の「騒ぎ」とは対照的な中国の「無風」

 筆者は年末年始、仕事の関係で1カ月近く中国の複数の都市に滞在した。日中関係が冷え込んでいる真っ最中に、公私にわたり地元の多くの人々と会ったり、街を散策したりしていた。

 まず受けた印象は、日本の「騒ぎ」とは対照的に、中国のほうはきわめて「無風」で落ち着いており、思ったより人々の関心が高くない。言及する場合も、口にする言葉は冷静で、余裕があるという印象だった。

 12月中~下旬、日本では年の瀬の慌ただしい雰囲気となるが、旧暦の正月(春節)を重視する中国では日本ほどの年末感はない。しかし都市部では「クリスマスから元旦まで」を一続きの祝祭期間として、「双旦※おめでとう!」という言葉で挨拶するのが、近年若者の間に定着しつつある。今年は1月4日の日曜日が振替出勤日となり、元旦から3日まで3連休だった。

 上海をはじめ各都市では、12月に入ると、観光地や大型商業施設に巨大なクリスマスツリーや華やかなイルミネーションが設置され、街全体がきらびやかな光に包まれる。ショッピングモールではクリスマスソングが流れ、カフェやレストランは限定装飾で彩られ、写真を撮る若者であふれていた。その賑わいは日本以上で、華やかな雰囲が「景気が悪い」と感じさせないのである。

※双旦…クリスマス+元旦のこと。「元旦」の「旦」と「聖誕節」(クリスマス)の「誕」は同じ発音のため

緊張下でも多かった日本人観光客

 そんな2025年の暮れ、意外にも、中国にやってきた日本人観光客は多かった。

 初めて中国を訪問したという日本人男性(24歳)は、渡航前に親をはじめ周りから大変心配されたという。彼からくわしく話を聞くことができた。

「初めての中国ということもあり、何よりも日中関係が悪化している最中で、訪れる前はとても不安だった。例えば、現地で日本人と知られたら、言葉や物理的な暴力を振るわれるのではと思ったり……。親も『このタイミングで行くの?』と心配していたため、行くべきかどうか悩んだ。

 しかし、実際訪れてみると、街全体がとても平和で、特に差別的な被害に遭うこともなく、接した現地の方々はとても親切で、楽しく過ごすことができた。また、(上海の)ディズニーや外灘には日本人観光客もたくさんいたので、安心できた。結果として来てよかったと思っている」