月収6万円で罵り、月収60万円で遊びにいく~情報格差が生む「反日」の実態
とはいえ、中国においては、情報格差は確実に存在している。
周知のとおり、中国のネット規制は厳しい。筆者は昨年の夏に中国へ出張した際、Wi-FiとVPNの準備をきちんとしていかなかったため、中国国内のアプリしか使用できなかった。その感覚は、まるで目隠しをされ、耳を塞がれ、籠の中に閉じ込められているようなものだった。
しかし、これはほとんどの中国人にとっての「日常」であり、VPNを使う一部の人を除けば、「一つの声」しか聞くことができないのが現実なのは確かだ。
今回中国に滞在していた間も、テレビをつけると、相変わらず抗日映画や抗日ドラマが日常的に放送されていた。加えて、低所得層の人たちは海外旅行できる経済力がないため、国の発信がすべてであり、それが「正しい世界」と認識している。
そして残念なことに、SNSで声高に「反日」「愛国」を発信しているのはこのような人たちだ。それゆえ、中国のSNSでは、「月収3000元(約6万円)で日本を罵り、月収3万元(約60万円)で日本へ遊びに行く」という痛烈な皮肉がある。
今回だけでなく、中国の空港から市内にタクシーで移動する際、何度も遭遇しているシチュエーションがある。
中国のタクシー運転手は、乗客によく話しかけてくるのだが、こちらが日本から来た飛行機に乗ってきたと分かった途端に、日本の悪口を言い始めるのだ。「日本は本当に憎らしい。歴史上も、今も、悪いことばかりしてくる」「許せない」などと怒りながら話す。
一方で、筆者から「最近、商売のほうはどうですか?」と尋ねると、「最悪だよ!収入は以前の半分に落ちている」と答えるのだ。「空港から市内までは長距離だから稼げていいんだけど、今は外国人のお客が少なくなったし、日本からの飛行機も減ってしまったし、長時間働かないと生活が苦しいよ」などと嘆く。
日本が嫌いと言いながら、日本からの飛行機が減ると生活が苦しくなるタクシー運転手。ブーメラン発言になっていることに気付いていないだろうな……と、毎回思っていた。こうした考え方の人はまったく珍しくない。







