Photo by Masato Kato
日本製鉄、JFEホールディングス(HD)に次ぐ国内鉄鋼3番手の地位に甘んじていた神戸製鋼所が“下克上”を果たしている。2025年度は1000億円の最終黒字を見込んでおり、2期連続でJFE HDを上回る見通しだ。だが、躍進を支えているのは機械など鉄鋼以外の事業で、本業であるはずの鉄鋼のプレゼンスは低下しているように見える。長期連載『経営の中枢 CFOに聞く!』の本稿では、鉄鋼事業出身で経理・財務の担当役員を務める木本和彦氏に、多様な事業を展開する神戸製鋼の投資戦略と鉄鋼事業の在り方を語ってもらった。(聞き手/ダイヤモンド編集部 今枝翔太郎)
機械分野は好調も、鉄鋼・アルミは苦境
投資家からは「もはや鉄鋼メーカーではない」
――2024~26年度の中期経営計画は折り返し地点を過ぎました。ここまでの手応えは。
財務の安全性は向上しています。DEレシオ(負債資本倍率)は25年度末で0.65倍程度を見込んでいて、26年度目標の0.7倍台半ばを1年前倒しでクリアできそうです。
一方で、収益性は計算が狂いました。事業環境の低迷がここまで続くとは思っていませんでした。機械系の分野の収益性はいいのですが、鉄鋼やアルミといった素材事業は厳しい。
――鉄鋼や機械、建設機械など、事業分野が多岐にわたっています。投資の配分についての考え方を教えてください。
事業が競争優位かどうかと、その状態(競争優位)に長くいられるかでリソース投下の優先順位を決めます。お金だけでなく、人材のリソースのバランスにも留意しています。
足元は鉄鋼やアルミが不調で機械が好調なので、「張るなら機械」となります。ですが、機械のどの分野がどのくらい競争優位でいられるかを見極めなければいけないので、単純に機械事業に何千億円も投資するということにはなりません。
投資家の方々は期待も込めていろいろなことを言うので、「もはや鉄鋼メーカーじゃないですよね。鉄鋼をやめて機械など成長分野にリソースを集中投資して打って出るタイミングではないですか」と言われることもあります。
――25年度の鉄鋼事業の売上高見通しは8170億円で、全社に占める割合は33%です。一方、経常利益見通し(在庫評価影響を除く)は130億円で、全社の11%にとどまっています。投資家が指摘しているように、鉄鋼事業をやめることも検討しているのでしょうか。
次ページでは、木本氏に、事業環境の低迷が続く鉄鋼事業の在り方を語ってもらった。神戸製鋼は、17年に神戸製鉄所の高炉(鉄鉱石とコークスを投入し、炉の下部から熱風を吹き込む製鉄所の中核設備)を止めており、現在は神戸に製鉄所はない。同社が鉄鋼事業から完全撤退することはあるのだろうか。さらに木本氏は、M&Aや事業譲渡、他社との協業の考え方も明かしている。世界鉄鋼最大手の中国宝武グループとのシナジーとは。







