20世紀に入っても差別は続いたが、多くのユダヤ系米国人は、同じく差別に苦しむ黒人解放運動を支援し、リベラル運動の旗手となった。

 当時はボブ・ディランやサイモンとガーファンクル等多くのユダヤ系ミュージシャンが活躍していたが、彼らの活動は実は彼ら自身を解放するための手段の一部だった、と筆者は個人的に考えている。このことを正確に理解していた日本の音楽ファンは少ないだろう。

ケネディに見出されるも
再びユダヤ冬の時代が到来

「反ユダヤ主義」からユダヤ系米国人を真の意味で解放したのはユダヤ系ではなく、アイルランド系カトリック教徒のケネディ大統領である。

 彼が登用した「ベスト・アンド・ブライテスト」(編集部注/「最良の、最も聡明な人々」を意味し、ベトナムへの軍事介入とベトナム戦争への発展・戦争の推進を主導した閣僚および大統領補佐官)の中には有名大学のユダヤ系学者が多く含まれていた。

 ユダヤ系は初めて米国の国家権力を行使する機会を得たのだ。80年代からはユダヤ系の連邦議員も増え始め、キッシンジャーが米国外交を取り仕切った。文字通り、ユダヤ系米国人の「黄金時代」が到来したのである。

 あれから30年、21世紀に入り、風向きは若干変わってきた。リーマン・ショックで再び「ユダヤ陰謀論」が沸騰し、ユダヤ系ハンガリー生まれで、著名な投資家であるジョージ・ソロスが批判されたりした。

 こうした風潮はトランプ政権の誕生で助長され、全米各地のユダヤ教会で銃乱射や襲撃事件が起きている。

 更に、最近では、全米の大学に広がった「パレスチナ支援」デモに、少数ながら、ユダヤ系の若者がアラブ系学生とともに参加していたそうだ。時代は変わったものである。