佐々木監督は、当時の吉田が求めていたものは「指導ではなく確認」と言った。それはどのような意味なのか?
「普通の子どもだったら、監督やコーチが“こうやって打った方がいいんじゃない?”と指導をしますよね。でも、吉田の場合は違う。“僕はこういうバッティングをしたいので、こうなっているか見ていてください”って言うんです。
アイツは僕のことを《監督》と呼ばずに、《昭さん》って呼ぶんですけど、“昭さん、ちょっと見てもらってもいいですか?”って言うから、“何を見るねん?”って聞くと、“こういうバットの出し方をしたいので、実際にそうなっているか見てほしいんです”と言う。
あるいは、“バットが内側から出ているか?”とか、“ヒッチをしていないか?”とか、“ひじの位置がここにあるかどうか?”とか、常に具体的なポイントを口にして、僕にチェックするように頼むんです」
野球に関してはすでに成熟していた
「子どもらしくない子ども」
吉田の頭の中にはすでに「答え」があった。理想とする打撃フォームがすでに確立されていた。
答えはすでにわかっている。重要なのは、その答えにたどり着くまでのルートをきちんと進んでいるかどうかということだった。
野球に関して、吉田は成熟していた。佐々木監督の言葉を借りれば、「子どもらしくない子ども」だった。述懐はさらに続く。
「今はYouTubeが全盛で、子どもたちもそこから知識を得ていますけど、その本質をきちんと理解できる子はほとんどいません。何も考えずに、ただ“プロ野球選手がこう言っているから”という理由で真似をしているだけ。
でも、吉田の場合は、ちゃんと頭の中に“これをしたら何がよくなる”ということを理解していました。頭がよかったんですよね、野球に関して。そうじゃないとあんな選手にはならないですよ」







