さらにSNSが浸透した現代では、「あの日本人は情報提供者ではないか」「あの外国人はスパイではないか」「だから罰した方がいい」といった極端な言論がネット空間を飛び交い、無関係の人物が誹謗中傷の標的になる危険性もある。
このように国民が疑心暗鬼になると、諸外国から「認知戦」(世論を操作し、自分たちが有利になるよう誘導する情報戦)を仕掛けられ、逆にスパイ活動を助長しかねない。
だからこそ、スパイ防止法をめぐる議論は「いかに外国のスパイを処罰するか」ではなく、「いかに日本社会全体で機密情報を守るか」という視点から進めるべきだと筆者は考えている。
スパイとスパイハンターの戦いは
フィクションではない
現段階での日本のスパイ対策には課題も残るが、冒頭の通り警視庁公安部がロシア人スパイを特定して書類送検するなど、成果を上げている側面もある。
実はカウンターインテリジェンスの一環として、日本の情報機関がスパイ組織の内部に協力者(二重スパイ)を獲得し、スパイ網の実態に迫っているケースも存在する。
スパイとスパイハンターの戦いは、物語の中のフィクションではない。現実世界で、今も静かに行われている。かくいう筆者も防衛省在籍時は、日本を狙うスパイ網の全貌を暴くことに命をかけていた。
今後も可能な範囲で、こうしたスパイを取り巻く攻防の「リアル」を伝えていきたい。







