資産の境界線を見極める
「3つの新基準」

 国が中古シフトを後押しするということは、住宅の質や安全性に対して「明確なモノサシ」を導入したという意味でもある。あいまいだった“良い家”の定義が、税制改正や段階的に施行されてきた法改正によって、具体的な条件として示されている。

【新基準(1)立地】 「災害リスク」は後から直せない
 まず確認すべきは、国が安全性の観点から「住宅ローン控除の適用外」とする方針を明確に打ち出したエリア、すなわち土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)などの災害リスクエリアへの対応である。これは土砂災害に限った話ではなく、昨今の気候変動を鑑みれば、水害リスクなども含めてハザードマップ上の懸念をできるだけ「避ける」ことが、これからの住まい選びでは当たり前の基準となっていくだろう。

 今回の住宅ローン控除の改正では2028年以降に入居する新築住宅が対象となっているが、中古なら無関係だと断じるのは早計だ。新築に対するこうした規制やスタンスは、いずれ中古市場における価値判断や将来的な再販時の条件に波及し、金融機関の担保評価や売りやすさ(流通性)に影響を及ぼす可能性が想定される。

 これを「中古なら大丈夫」と楽観視すれば、将来売ろうにも買い手がつかない、あるいは住宅ローン残高が資産価値を上回るオーバーローン状態となるリスクを抱え込むことにもなりかねない。

 “立地”はリフォームで解決できない要素だ。「今の自分たちが買えるか」ではなく、「将来的な資産価値」も基準に据えるべきである。

【新基準(2)性能】 省エネ改修の時代に「改修しにくい家」は不利になる
 近年、国は既存住宅の省エネ性能向上に本腰を入れ始めており、断熱などの改善が前提になる市場へとシフトしてきている。ただし、省エネ以前の建物のコンディションには注意が必要だ。省エネ改修を行う大前提として、雨漏り、漏水、建物の傾きといった「別の優先課題」がないことが極めて重要になる。

 大きな不具合を抱えた物件では、予算が「修理」に消えてしまい、価値を高める投資に回せない。築古物件ほどこうした劣化や不具合のリスクは明らかに高まる。購入前の時点から、余計な修繕に予算を奪われず、スムーズに性能向上を図れる「健康」な状態かの見極めは欠かせない。