成功した2つの「鬼退治」

 今回の選挙で、高市首相は2つの「鬼退治」に成功した。1つは、最大野党、中道改革連合を叩き潰したことだ。

 とりわけ、立憲民主党系の候補者たちは、小選挙区で「高市人気」に押され、政策面で公明党の「原発容認、安保は合憲」を飲んだことでコアな支持者に見限られた。

 頼みとする比例での復活も、全国11の比例ブロックで名簿上位を公明党系の候補者に譲ったためにかなわず、選挙に強いとされた小沢一郎氏をはじめ、岡田克也氏、枝野幸男氏、安住淳氏といった幹部級の前職が次々と涙を飲んだ。

 他方、政策と比例名簿での上位掲載を飲ませた公明党は議席増となり、中道という急ごしらえの寄り合い所帯の中で、残酷なまでに明暗が分かれる形となった。

 中道が野田佳彦共同代表らの責任問題はもとより解党の危機に直面する現状では、国会が始まったとしても、高市首相の「旧統一教会問題」や、選挙中の「円安で外国為替資金特別会計の運用はホクホク」といった発言を追及する声は迫力を欠くことになるだろう。

 もう1つは、自民党内で麻生太郎副総裁から自立できたことである。

 高市首相が唱える「積極財政」には、つねに「責任ある」という冠がついてきた。これには、財務相経験者で高市首相の生みの親でもある麻生氏や、麻生氏を義兄に持つ、同じく財務相経験者の鈴木俊一幹事長らの意向に配慮して、という側面もあった。

 それが、「私が首相でいいのかどうかを問う」と位置づけた選挙で圧勝したことで、麻生氏らの呪縛から解き放たれ、自分主導で政策を前に進めることができる優位な立場へと変化した。

 加えて、公明党の連立離脱や中道改革連合の旗揚げで厳しい戦いが予想された自民党の若手候補者たちは、高市首相の応援や「高市人気」のおかげで議席を手に入れたり、守ったりすることができたため、その多くが“高市チルドレン化”し、高市首相からすれば、弱かった党内基盤を一気に強化することにも成功した。

 つまり、高市首相は、今回の圧勝で、最大野党ならびに麻生副総裁という「鬼退治」に成功し、強い味方まで得たことになる。