この3月から開校する「数楽道場」
数学を通して一生ものの感動を!
望月 普通でしたら、こんな有能な人が塾をやるなんてと思うでしょう。「数楽道場」のホームページには「一生ものの感動を さあ、冒険に出かけよう!」と書いてあり、正面から「理念」を語っている。すごいなあと思いました。
――いわゆる進学塾ではないわけですね。
入江 中1から高3までの6年間をかけて、楽しみながらじっくり数学を学びます。高2の秋くらいまでは時間をかけて、自分で発見する喜びや感動を体験してほしい。数楽道場は受験に合格させることよりも、「心から楽しみながら数学を学び、その過程でより良く生きるための力を育むこと」を目的にしています。
最初の5年間でしっかり感動しながら自主的に学ぶ姿勢が身に付けば、自然と大学受験を乗り越えるための力は備わるのではないかと思います。その力を受験本番で十分発揮できるように、最後の1年間は受験に特化した指導を行います。進学塾で教えてきたこともあるので、間に合わせる自信はあります。
望月 自分もそうですが、塾で稼ごうとかビジネスを広げようという気はなさそうですね。
入江 モチベーションは一つだけ、感動を伝えたいということ。昔から競争に勝つことが最重要課題の教育にずっと違和感を抱いてきました。
確かに、問題が解けて大学に合格することは、人生の岐路を左右する大事なことです。しかし、それ以上に大切なのは、学ぶことの楽しさや感動を通して、生徒たちがより良く生きるための力を育むこと、人間として生まれてきたことの素晴らしさを実感してもらうことではないでしょうか。でなければ、公教育として全員が数学を学ぶ意味なんてないと思います。
私自身好奇心が旺盛ということもあるのですが、感動を味わえないなら生きていても仕方ないとすら思います。受験ではなく、感動を軸に教えることができれば、全然違う教育になるのではないかと思います。
――改めて数学科に進んだことも塾を開くきっかけになっているわけですね。
入江 数学を学びたくて入ったので、相当な熱量で取り組みました。医師として働きながら数学に悪戦苦闘する大変な毎日でしたが、こんなにも豊かな世界が広がっていることを知り、入り直して本当によかったと思います。そう思うのと同時に、こんなにも素晴らしい世界を知らないまま、中高6年間をただ試験や受験対策だけで終えるのはあまりにもったいないと感じました。僕が感動したことの多くは、意欲ある中高生なら十分理解できる内容です。
一方で、僕は医師としてこれまでたくさんの生死を見てきました。「この人にとっての幸せは一体何なのか?」と人生の価値観について考える機会も多くありました。どの親も手段の違いはあれ、「子どもには幸せになってほしい」と願っている点では同じだと思います。僕も生徒たちには、死ぬ間際に「いい人生だった」と思えるように生きてほしい。そのために今どんな教育をすべきかということを常に考えながら指導に携わっています。
――子どもたちの学び方を変えたいと。
入江 教育現場は受験までしか見ていないことがほとんどです。保護者も教育現場に大学合格を第一に求めるのは仕方がないとは思います。それでも、人生100年時代の生き方を考えたときに、はるかに長い受験後の人生を豊かに歩むために、受験後も見据えた学び方があるのではないかと思っています。
――次回は、入江さんがおっしゃる「感動」する学びについて伺いましょう。







